住宅診断士・建築士などの専門家による点検のすすめ

住まいづくりの基本(住まいづくりの考え方と進め方)
見逃しを防ぎ、将来の大きなトラブルを回避

 日常点検や簡易チェックリストでは把握しきれない問題も、住宅のプロなら早期に発見できます。
見た目は小さなひび割れでも、構造や地盤に関わる重大なサインかもしれません。この章では、専門家に点検を依頼するメリットや、どのような場面で相談すべきかを具体的に解説します。

専門家による点検が必要な主なケース

ケース内容
新築後・引き渡し直後のチェック工事ミスや未施工箇所がないか確認
中古住宅購入前のインスペクション購入判断材料として劣化や不具合を調査
ひび割れ・傾きなどが気になるとき原因や再発リスクを専門的に判断
地震や台風のあと外観に変化がなくても構造に影響が出ている可能性
長年メンテナンスをしていないとき劣化の蓄積状況を把握して予防的対策を検討

住宅診断士・建築士の役割と強み

住宅診断士(ホームインスペクター)
→ 建物の状態を可視化し、第三者的な立場でアドバイス
→ 雨漏り、ひび割れ、傾きなどの劣化状態をチェック
→ 修繕の必要性や優先順位、コスト感を整理

一級・二級建築士
→ 建物全体の構造的な安全性にまで踏み込んだ診断が可能
→ 増改築・補強計画などの設計提案もできる
→ 法規的な知識も有し、長期的視点での助言が可能

専門家点検を依頼するメリット

メリット説明
見落としリスクの軽減プロの目で詳細に調査するため、潜在的な劣化も見つかる
適切な補修方針の判断自分で調べるより精度が高く、無駄な補修を避けられる
将来の計画に役立つ長期的な修繕スケジュールや費用計画が立てやすくなる
第三者の視点で安心売買時や施工後の確認などで客観的な評価が得られる

点検を依頼するときの流れ

  1. 依頼先を選ぶ(住宅診断士 or 建築士)
     インターネットや建築士会、ホームインスペクター協会などから探す
  2. 調査範囲や目的を事前に相談
     例:外壁ひび割れ調査、基礎周辺の状態確認、雨漏りの原因調査など
  3. 現地調査を実施(通常2〜3時間程度)
     写真・測定・記録を取りながらチェック
  4. 報告書の受領
     ひび割れの位置、劣化度合い、必要な補修の方向性などが記載される
  5. 必要に応じて施工業者を紹介 or 補修計画に進む

費用の目安(参考)

項目費用相場(目安)
一般的なホームインスペクション5〜10万円(60〜120㎡)
詳細診断(耐震・劣化調査)10〜20万円程度
報告書・写真付きレポート調査費用に含まれるか、別途1〜3万円

補足:診断を受けたあとに重要なこと

  • 結果を読み解くサポートを得ること(報告書だけでは判断できないこともある)
  • 施工会社と一緒に結果を共有すること(具体的な対策に進みやすい)
  • 定期点検と組み合わせること(5年、10年ごとのチェックを推奨)

まとめ:「自己判断に頼らず、プロの知見を活用しよう」

ポイント説明
自分で見える範囲は限られる専門家の調査で“見えない劣化”を明らかに
点検は将来のトラブル回避につながる補修時期や方法も的確に把握できる
費用より安心の価値を重視重大な劣化を見逃せば、将来的に数十万円以上の損失も

 住宅は「住みながら守るもの」。だからこそ、信頼できる専門家の力を借りて、安心して暮らせる家を長く維持していきましょう。


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