確認申請が必要になると何が増える?

2025年から変わる家づくりのルール(4号特例縮小)
書類・業務・費用…増える負担を正しく理解して備えよう

 4号特例の縮小により、これまで確認申請の簡略化が認められていた小規模住宅(木造2階建て以下の戸建てなど)にも、構造や省エネなどの詳細な図面と計算書の提出が求められるようになりました。これにより、住宅設計と施工の過程において次のような“増える”が発生します。

増える「図面と書類」

詳細図面の作成が必要に

 これまで提出不要だった構造計算書(簡易的なもの含む)や省エネ性能に関する説明書、さらに詳細な矩計図・軸組図・基礎伏図などが必要となります。

書類の種類これまで(4号特例あり)今後(4号特例縮小後)
配置図・平面図必要必要
立面図・断面図必要必要
構造計算書原則不要原則必要(簡易計算含む)
基礎伏図・軸組図不要でも可提出が必要
省エネ計算書原則不要必要(適合義務)

書式や記載内容も厳格に

 審査機関が確認するため、明確な縮尺・寸法・使用材料などの情報を正確に記載しなければなりません。不備があると、審査での差し戻しが増え、時間と手間がさらにかかります。

増える「手続きと時間」

審査期間が長くなる可能性

 これまで簡略申請で数日~1週間だったものが、審査に10日以上かかるケースもあります。特に繁忙期や不備の多い申請では、着工の遅れにもつながりかねません。

建築士・設計事務所の業務も増大

申請図書の精度を上げる必要があるため、設計士側の労力も大幅に増えます。申請準備にかかる日数が延びることから、設計料が上がる可能性もあります。

増える「確認・検査」

中間検査・完了検査の対象拡大

 これまで免除されていた小規模住宅でも、中間検査(構造体完成時など)や完了検査が義務となる場合があります。これにより、施工中の対応が煩雑になり、工期や調整が必要になります。

施工中の写真や記録も必要に

 適正な工事を証明するために、施工中の記録写真や監理報告書の提出が求められることがあります。特に構造・省エネの観点での証明が重要です。

増える「コスト」

設計・審査・検査にかかる費用

申請書類の増加により、次のような費用の上昇が想定されます:

費用項目増加の要因
設計費書類作成・構造・省エネ計算の追加
確認申請手数料書類審査が複雑化
中間・完了検査費新たに検査対象になる住宅が増加

第三者チェックも検討を

 建築士任せにせず、建築確認のプロセスや内容を理解することが、施主にとっての安心にもつながります。 最近では、建築士の説明だけでは不安な施主が、第三者のチェック機関を活用するケースも増えています。

まとめ:「申請が必要=家づくりが難しくなる」ではない

 申請が増えることで手間は確かに増えますが、その分、設計・施工の質が上がる機会でもあります。 特に構造や断熱といった“目に見えない部分”の品質が保証されやすくなる、という点では、施主にとって大きなメリットです。「確認申請が増える=安心な家づくりの第一歩」と捉え、前向きに取り組むことが大切です。

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