住宅トラブルというと、不同沈下や雨漏り、耐震性不足といった「構造的な問題」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際の相談件数として非常に多いのが、設備や仕上げに関する不具合です。
これらは、すぐに命に関わる問題ではないことが多い一方で、日々の暮らしに確実なストレスを与え続ける不具合でもあります。
本章では、設備・仕上げに関する不具合がなぜ起こるのか、そして「軽視してはいけない理由」を整理していきます。
設備・仕上げの不具合とは何を指すのか
設備・仕上げに関する不具合とは、主に次のようなものを指します。
- 給排水設備の不具合(漏水・詰まり・異音)
- 電気設備の不具合(スイッチ・コンセント・照明)
- 換気設備の不具合(換気不足・結露・臭気)
- 内装仕上げの不具合(クロスの浮き・剥がれ、床鳴り)
- 建具の不具合(ドア・引戸の建付け不良)
一つ一つは小さな問題に見えても、複数重なることで住み心地を大きく損なうことになります。
よくある設備トラブルの実例
給排水設備の不具合
水栓からの水漏れ、排水の流れが悪い、使用時に「ゴボゴボ」という音がするなどの症状は、
施工不良や勾配不足、接続部の処理不良が原因であることが少なくありません。特に床下や壁内で発生している漏水は、気づかないうちに構造材を傷める原因にもなります。
電気・換気設備の不具合
スイッチの反応が悪い、照明がちらつく、換気扇がうるさい・効かないといった不具合も、配線・設置・選定ミスによるものが多く見られます。換気設備が適切に機能していない住宅では、結露・カビ・臭気の問題が慢性化することもあります。
仕上げの不具合は「施工精度」が現れる
内装・外装の仕上げは、施工の丁寧さが最も分かりやすく現れる部分です。
- クロスのジョイントが目立つ
- 床がきしむ、鳴る
- 巾木や見切り材がずれている
- 外壁仕上げにムラや剥がれがある
これらは、「多少は仕方がない」と言われがちですが、本来は防げる不具合であることも多くあります。
なぜ設備・仕上げの不具合は軽視されやすいのか
設備・仕上げの不具合が後回しにされがちな理由として、
- すぐに危険がない
- 住めてしまう
- 「使い方の問題」と言われる
といった事情があります。しかし実際には、
- 小さな漏水が大きな腐朽につながる
- 換気不良が健康被害につながる
- ストレスが積み重なり住まいへの不満になる
など、長期的な影響は決して小さくありません。
引き渡し時・点検時に確認すべきポイント
設備・仕上げの不具合は、引き渡し時のチェックで発見できるものが多いのも特徴です。
- 水を実際に流してみる
- すべてのスイッチ・コンセントを使ってみる
- 建具を何度も開閉する
- 床を歩いて音を確認する
- 換気扇を回して吸い込みを確認する
これらは、図面や書類だけでは分からない部分です。
専門家が見る「設備・仕上げ」のチェック視点
専門家は、単に「動くかどうか」ではなく、
- 施工方法が適切か
- 将来のメンテナンス性
- 隠れている部分の納まり
- 他の不具合と連動していないか
といった点まで含めて確認します。 設備・仕上げの不具合は、構造や防水の問題の“結果”として現れている場合もあるため、単独で判断しないことが重要です。
まとめ|設備・仕上げの不具合は「住まいの質」を映す鏡
設備・仕上げに関する不具合は、建物の寿命や安全性を左右するものではないように見えて、住まいの満足度と信頼性を大きく左右する要素です。「小さな不具合だから」「生活できているから」と見過ごさず、
- 気づいた時点で記録する
- まとめて確認する
- 必要に応じて専門家に相談する
ことが、後悔しない住まいづくり・住まいの維持につながります。第2章で見てきたように、住宅トラブルは「単独」ではなく、複数の要因が重なって現れることが多いものです。だからこそ、
小さな違和感を大切にする視点が重要になります。

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