前章では、「本体工事費」について説明しました。しかし、実際の家づくりでは、本体工事費だけで家が完成するわけではありません。家づくりでは、「本体工事費以外」にも多くの費用が必要になります。その代表が「付帯工事費」です。
付帯工事費とは、簡単に言えば「建物本体以外に必要となる工事費」のことです。住宅会社の広告では「本体価格○○万円」と大きく表示されていても、実際にはこの付帯工事費が別途必要となり、最終的な総額が大きく増えるケースが非常に多くあります。
家づくりで予算オーバーになる原因の多くは、この付帯工事費の見落としです。そのため、住宅計画では、
・本体工事費
・付帯工事費
・諸費用
を分けて理解することが非常に重要になります。
付帯工事費とは何か
付帯工事費は、建物そのものではなく、「生活できる状態にするための工事」と考えるとわかりやすくなります。例えば、どれだけ立派な家が完成しても、水道や電気が使えなかったり、敷地に車を停められなかったりすると、実際には快適に生活することができません。
つまり、付帯工事とは、建物と敷地、インフラ、生活機能をつなぐための工事なのです。しかも、付帯工事費は土地条件によって大きく変わるのが特徴です。同じ30坪の住宅でも、
・土地の高低差
・前面道路の条件
・地盤の強さ
・インフラ状況
などによって、数百万円単位で差が出ることもあります。
主な付帯工事費の内容
屋外給排水工事
■ 水道・下水を建物へ接続する工事
住宅では、上水道・下水道・雨水排水などを建物へ接続する必要があります。そのため、
・敷地内配管
・排水桝
・道路側への接続
・水道引込
などの工事が必要になります。特に注意したいのが、古い土地では水道管が細いケースがあることです。この場合、
・水道管の引き直し
・口径変更
・道路掘削工事
などが必要になり、高額になる場合があります。また、地域によっては水道加入金や分担金が必要になることもあります。
地盤改良工事
■ 地盤が弱い場合に必要となる工事
住宅では、建築前に地盤調査を行います。その結果、軟弱地盤と判定された場合には、地盤改良工事が必要になります。代表的な工法には、
・表層改良
・柱状改良
・鋼管杭工法
などがあります。地盤改良費は、数十万円程度で済む場合もあれば、数百万円かかる場合もあり、土地条件によって大きく変わります。土地購入前には、周辺地盤情報を確認することが非常に重要です。特に、
・埋立地
・造成地
・田んぼ跡地
・谷埋め盛土
などでは注意が必要です。
外構工事
■ 家の外まわりを整える工事
外構工事とは、建物以外の敷地部分を整備する工事です。具体的には、
・駐車場
・アプローチ
・門柱
・フェンス
・植栽
・ウッドデッキ
などがあります。しかし、多くの方が外構費用を軽く考えがちです。実際には、駐車場コンクリートやカーポート、目隠しフェンスだけでもかなりの費用になります。また、高低差のある土地では、
・擁壁
・階段
・土留め
などが必要となり、さらに高額になるケースがあります。
仮設工事
■ 工事を行うために必要な準備工事
住宅工事では、実際の建築前に様々な仮設工事が必要になります。例えば、
・仮設電気
・仮設水道
・足場
・仮設トイレ
・養生
・仮囲い
などがあります。特に足場は、安全確保と施工品質に直結する重要な設備です。また、狭小地や住宅密集地では、
・資材搬入費
・警備員費用
・小運搬費
などが追加される場合もあります。
解体工事
■ 建替え時には必要になる工事
古い住宅を解体して建替える場合には、解体工事費が必要になります。解体費用は、
・木造
・鉄骨造
・RC造
によって大きく異なります。さらに、
・アスベスト
・地中埋設物
・古い浄化槽
・残置物
などが見つかると、追加費用が発生する場合があります。古家付き土地では、「解体費込み」で予算を考える必要があります。
付帯工事費は土地条件で大きく変わる
■ 同じ建物でも総額は全く違う
ここで非常に重要なのが、付帯工事費は「土地条件」に強く影響されるという点です。例えば、
・平坦地
・インフラ整備済み
・地盤良好
・前面道路が広い
という土地では、比較的費用を抑えやすくなります。一方で、
・高低差がある
・地盤が弱い
・道路が狭い
・インフラ未整備
という土地では、工事費が大幅に増えることがあります。つまり、「土地価格が安い」と思って購入しても、付帯工事費が高額となり、結果的に割高になるケースも少なくありません。
「本体価格が安い家」の注意点
住宅広告では、「本体価格○○万円」が強調されることが多くあります。しかし実際には、付帯工事費・諸費用が別になっているケースが非常に多くあります。本体価格だけでは、本当の建築費はわからないのです。場合によっては、「本体価格は安いが、付帯工事費が高額」というケースもあります。そのため、住宅会社を比較する際には、
・どこまで含まれているか
・別途工事は何か
・追加費用の可能性はあるか
を確認することが重要です。
付帯工事費で失敗しないためのポイント
付帯工事費で失敗しないためには、最初から「総額」で予算を考えることが非常に重要です。特に確認したいのが、
・地盤調査結果
・インフラ状況
・高低差
・外構計画
・解体の有無
・道路条件
などです。また、
・「概算」なのか
・「確定金額」なのか
も確認する必要があります。住宅会社によっては、最初は安く見せておいて、後から追加費用が増えていくケースもあります。契約前に「総額ベース」で確認することが大切です。
まとめ
付帯工事費とは、「建物本体以外に必要となる工事費」です。具体的には、
・給排水工事
・地盤改良
・外構工事
・仮設工事
・解体工事
などがあります。これらは土地条件によって大きく変わるため、同じ建物でも総額が大きく変わることがあります。そのため、「本体価格だけ」、「坪単価だけ」で判断するのではなく、「最終的な総額」で考えることが非常に重要です。
