引き渡し(引渡し)とは

 工事が終了すると、引き渡し(引渡し)が行われます。引き渡し(引渡し)とは、建設工事が完了し、建物が施主(依頼者)に正式に引き渡される手続きのことです。これは、工事契約が終了し、施主が建物の所有権を得る重要な段階です。引き渡しの際には、工事が契約通りに行われたかどうかを確認し、必要な書類や鍵が施主に渡されます。

 これは、建物本体と外構工事が同時契約であれば、外構工事が終了後に行われます。別々の契約であれば、建物本体工事が終了すると、引き渡しが行われ、その後、外構工事が行われるということになります。

引き渡しの主な手順と注意点

  1. 最終検査:
    • 引き渡し前に、施主や建設会社の担当者が最終検査を行います。この段階で、建物が契約書や設計図通りに完成しているか、施工ミスや不具合がないかを確認します。特に、壁の仕上がりや設備の取り付け、床や天井の状態など、細部にわたるチェックが行われます。
    • 検査の際には、施工不良や未完成部分が見つかることがあるため、これらの修正が必要です。これらが解決されるまで引き渡しを延期することもあります。
  2. 書類の確認:
    • 引き渡し時には、工事完了報告書や保証書、取扱説明書、設備の仕様書など、様々な書類が施主に渡されます。これらの書類は、後々のメンテナンスや修理の際に重要となるため、しっかりと確認し、保管することが求められます。
    • 保証期間やアフターサービスの内容を明確に理解しておくことも大切です。
  3. 鍵の受け渡し:
    • 建物の鍵が施主に正式に渡される瞬間は、引き渡しの中で非常に象徴的なものです。この時点で施主は建物の管理責任を負うことになります。
  4. 引き渡し書の署名:
    • 引き渡しが無事に完了したことを確認するため、施主と建設会社の間で引き渡し書が交わされます。これには、建物の状態や引き渡しに関するすべての事項が記載されており、双方の署名が求められます。
    • この書類に署名することで、工事が契約通りに完了したことが正式に認められ、建設会社の責任が完了します。
  5. 最終決済:
    • 引き渡しの際に、残りの工事費用の支払いが行われることが一般的です。これには、最後の支払いとして、契約に基づく最終的な金額が含まれます。

注意点

  • 事前に不具合がないか確認: 引き渡し前にしっかりと検査を行い、不具合や気になる点があれば、遠慮せずに建設会社に修正を依頼することが重要です。
  • 書類の内容を理解する: 受け取る書類には、保証期間やアフターサービスに関する情報が含まれていますので、内容をよく理解しておくことが大切です。
  • 引き渡し後のトラブルに備える: 万が一、引き渡し後に問題が発生した場合に備え、保証期間や修理対応について明確にしておくことが重要です。

 引き渡しは施主にとって非常に重要なプロセスですので、事前にしっかりと準備し、必要な確認を怠らないようにすることが求められます。

引き渡しの準備段階

  1. 最終検査の準備:
    • 最終検査の前に、建設会社は内部で工事の品質チェックを行います。この内部チェックでは、設計図や仕様書に基づいて工事が完了しているかを確認します。このプロセスでは、特に見えにくい部分(配管、電気配線、防水処理など)や施主が指示した特別なリクエストが正しく反映されているかを確認します。
  2. 施主の最終確認の準備:
    • 施主が行う最終確認は非常に重要です。この段階では、建物全体を注意深くチェックします。以下のような項目に特に注意が必要です。
      • 内装の仕上がり: 壁、天井、床の仕上がり具合、クロスの貼り付け状況、塗装のムラがないかなど。
      • 設備の動作確認: 照明、電気コンセント、水道、ガス、換気設備などが正常に動作するかを確認します。特にキッチンやバスルームの設備はしっかりとチェックする必要があります。
      • ドアや窓の開閉: ドアや窓がスムーズに開閉できるか、鍵のかかり具合や音の確認も行います。
      • 外装と防水処理: 屋根、外壁、バルコニー、雨樋などの外装部分と防水処理の状態も確認します。
  3. 補修が必要な場合:
    • 最終確認で不具合が見つかった場合は、建設会社に補修を依頼します。補修が完了したら再度確認を行い、問題が完全に解決されていることを確認します。この段階で妥協せず、納得できる状態にしてもらうことが重要です。

引き渡し時の詳細

  1. 工事完了報告書の確認:
    • 引き渡し時に工事完了報告書が提出されます。この報告書には、工事の概要、施工方法、使用された材料、完成した建物の状態などが記載されています。この報告書をもとに、実際の工事が契約や設計図に沿って進められたかを確認します。
  2. 保証書の内容確認:
    • 建物の保証書もこの時に渡されます。保証書には、構造部分や設備の保証期間、保証対象となる範囲が明記されています。例えば、構造部分は10年間保証、設備は2年間保証など、部位によって異なる保証期間が設定されています。保証内容を十分に理解し、後でトラブルが発生した場合に備えることが重要です。
  3. 取扱説明書の受け取り:
    • 取扱説明書には、各種設備の使い方やメンテナンス方法が詳しく説明されています。例えば、給湯器やエアコン、換気システムなどの操作方法や、定期的に行うべきメンテナンス項目が記載されています。これらを適切に理解し、日常的に正しく使用することで、設備の寿命を延ばし、トラブルを未然に防ぐことができます。
  4. 登記の確認:
    • 建物の引き渡し後、施主は建物の所有権を正式に取得します。このためには、登記手続きを行う必要があります。登記とは、建物の所有権を法的に認めるための手続きであり、施主の名義で登録されることになります。この手続きが完了することで、施主は法的にその建物の所有者となり、売買や担保に供することができるようになります。
  5. 火災保険や地震保険の加入:
    • 引き渡し後すぐに火災保険や地震保険に加入することが推奨されます。これにより、万が一の災害や事故に備えることができます。火災保険は通常、建物全体をカバーするもので、自然災害による損害や火災による被害を補償します。地震保険は、地震による損害をカバーするもので、火災保険だけではカバーできない地震による被害を補償します。

引き渡し後のフォローアップ

  1. アフターサービスの確認:
    • 引き渡し後も、建設会社によるアフターサービスが提供されることが一般的です。通常、引き渡し後数ヶ月から1年程度の期間中に、建物に不具合が発生した場合には、建設会社が無償で修理を行います。このサービス期間や内容についても、事前に確認しておくことが大切です。
  2. 点検とメンテナンス:
    • 定期的な点検とメンテナンスは、建物の寿命を延ばし、トラブルを未然に防ぐために重要です。点検項目には、外壁や屋根の状態、水回りのチェック、換気システムの点検などが含まれます。これらの点検は、専門業者に依頼するか、自分で行うことができます。
  3. 施主からのフィードバック:
    • 引き渡し後に気づいた問題や改善点については、建設会社にフィードバックを伝えることが推奨されます。これにより、将来のプロジェクトにおいて同様の問題が発生しないように改善されることが期待されます。

 引き渡しは建設プロセスの中で非常に重要な節目であり、施主と建設会社の両方が満足できる形で完了することが理想的です。しっかりとした準備と確認を行い、納得のいく引き渡しを迎えるために、上記のポイントに注意してください。

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