是正命令・工事ストップ・売却不可の可能性

2025年から変わる家づくりのルール(4号特例縮小)
違反建築の末路とは?後悔しないために知っておくべき現実

 家づくりやリフォームにおいて、確認申請を怠ったり、法令を無視したりしてしまうと、建築基準法違反とみなされ、「違反建築物」として是正命令を受けることがあります。この是正命令は、単に「直しておいてくださいね」という軽い注意ではありません。放置すれば、工事の強制停止や不動産としての売却不可、さらには罰則や損害賠償の請求など、深刻な事態を引き起こすことがあります。

是正命令とは何か?

 是正命令とは、建築基準法違反の状態を正すよう、行政(市区町村など)が命じる措置命令のことです。たとえば、

  • 無確認で増築したバルコニーを撤去せよ
  • 防火地域に耐火構造でない建物を建てたので、外壁を改修せよ
  • 建ぺい率オーバー分を解体せよ

といった命令が出されます。

 しかもこれは“努力義務”ではなく、“法的義務”です。従わない場合には行政代執行(行政が強制的に解体等を行い費用請求)に至ることもあります。

工事ストップのリスク

違法建築と疑われた場合、工事の中止命令が発せられることがあります。

これは、たとえば以下のようなケースです:

  • 増築中に近隣住民から通報が入り、役所が現地調査に来た
  • 工事現場で構造や防火基準に違反していることが判明
  • 着工後に「確認申請が出ていない」と発覚した

 このような場合、工事が中断され、そのまま再開できなくなることも。中途半端な状態で建物が放置されれば、工務店との契約関係もこじれ、費用や責任の所在をめぐって法的トラブルに発展する危険性もあります。

違反が明らかになるのはいつ?

違反が明るみに出るタイミングには、以下のようなものがあります。

タイミング内容
中間検査や完了検査時設計と異なる工事内容が指摘される
不動産売却時買主や仲介業者による調査・建物状況調査で発覚
近隣住民からの通報工事中に行政が現地確認するきっかけになる
12条報告(定期報告)時法人建物や特定建築物に義務化されている定期報告で明らかに

違反建築は売却できない?

 違反建築物は、原則として以下の理由により売却が非常に困難になります。

  • 登記ができない、あるいは法的にグレーな状態になる
  • 融資(住宅ローン)が通らない
  • 買主が建て替えや改修できない物件となる可能性
  • 価格が大幅に下落し、買い手がつかない

 とくに「建築確認をとっていない家」や「増築部分が違法」の場合、不動産会社が仲介を断るケースも少なくありません。一見安くてお得に見える中古住宅でも、違反建築のレッテルが貼られた時点で「負の資産」になってしまうのです。

実際にあった事例

 以下のような事例が実際に報告されています:

🔹確認申請なしでロフトを増築 → 違法建築判明で売却できず
 ある夫婦が10年前に建てた住宅に、DIY感覚でロフトを増築。建物を売却しようとした際に不動産会社が調査したところ、「建築確認と異なる構造」として是正命令が発令。ロフトを撤去しなければ売却不可となり、費用も200万円以上かかることに。

🔹耐震改修で柱を変更 → 接道義務未満で確認申請が通らず、工事中止
 古い木造住宅をフルリフォームしようとしたが、改修範囲が大きくなり確認申請が必要に。しかし、その家は接道義務を満たしておらず、申請が通らず改修も工事もできない状態に。最終的に物件は解体せざるを得なくなった。

トラブルを防ぐための対策

 以下のような準備と確認が、是正命令や工事中止のリスクを回避します。

  • 信頼できる建築士や設計事務所と契約する
  • 工事前に必ず「確認申請の要否」を行政に相談する
  • 法的にグレーな既存建物は、早期に調査を依頼する
  • 中古住宅購入時は「建物状況調査」や「法適合性調査」を行う

まとめ:違反建築の代償は高くつく

 違反建築は、是正命令・工事停止・売却不能と、家の価値をゼロにしかねない深刻な問題を引き起こします。「たったこれだけのリフォームだから」「前の持ち主がやったことだから」といった油断が、後々自分の首を絞めることになります。

 家を建てる、買う、リフォームする前に、必ず専門家と行政に相談する
これが、安心して暮らせる家づくりの第一歩です。

タイトルとURLをコピーしました