~4号特例の見直しは「命と暮らしを守る家」づくりの第一歩~
日本は世界でも有数の地震大国です。阪神・淡路大震災や東日本大震災、近年では熊本地震など、繰り返し大きな揺れが私たちの暮らしを襲ってきました。こうした経験を通じて、国も私たちも「住宅の耐震性」の大切さを強く認識するようになりました。
建築士が設計すれば安全」とは限らない
これまでの「4号特例」では、小規模な木造住宅について、確認申請の一部が省略されてきました。
つまり、構造の安全性や法令順守について、役所などの“第三者の目”によるチェックが入らなかったのです。もちろん、誠実な建築士さんや工務店さんが大半です。けれど中には、
- 構造計算をしていない
- 現場で設計どおりに作られていない
といったケースも報告されています。その結果、地震で倒壊する住宅が出てしまったのです。
「安全な家」が“当たり前”になるために
今回の改正では、小さな家でも「構造の安全性」がチェックされるようになりました。つまり、すべての人が安心できる家づくりの基準が、平等に引かれるということです。
たとえば:
改正前(4号特例あり) | 改正後(2025年~) |
---|---|
確認申請の構造チェックは免除 | 小規模住宅も構造審査の対象に |
建築士の自己チェック | 第三者機関による確認が必須に |
安全性のばらつきが生じやすい | 全国的に品質の平準化が進む |
「わが家は大丈夫」と言える家をもっと増やしたい
国は、災害時に“倒れない家”“住み続けられる家”をもっと増やしたいと考えています。特に在宅避難やライフライン確保の観点からも、壊れない住宅は地域防災の要となります。そのためにも、今後の家づくりには「耐震等級」や「構造計算」が必須になっていく流れです。
そして、それをきちんと確認・指導する仕組みが求められていたのです。
まとめ:「安全な暮らし」は制度からつくる
地震のたびに、「もっとちゃんと設計・確認しておけば…」という後悔が全国で繰り返されてきました。これからは、すべての住宅がきちんと構造を確認された“安全な家”になっていきます。
- 家族の命を守る構造があるか?
- 長く安心して住める耐震性能か?
- 必要なチェックが抜けていないか?
このような当たり前の安全を、制度によって支えていく。それが、今回の法改正がめざす「より安心できる社会」の第一歩なのです。
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