構造へのダメージ

白蟻から家を守るために知っておきたい基礎知識
見えないところから壊される住まいの骨組み

 白蟻の被害といえば、「床が沈む」「畳がフワフワする」といった目に見えるトラブルを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、本当に深刻なのは、建物の構造部材そのものが食い荒らされているケースです。白蟻による構造へのダメージは、家の強度や安全性を根本から損なう重大な問題につながります。

どこが狙われるのか?白蟻の標的になる構造部材

白蟻は木材を主食とするため、特に以下のような構造上重要な部材が被害を受けやすい場所です。

部位被害内容
土台建物を支える最も重要な水平構造材。被害が進行すると、建物全体の安定性が損なわれる。
大引・根太床を支える部材。食害により床が沈み、歩行や家具の使用に支障が出る。
柱(通し柱・管柱)壁を支える縦材。中が空洞化していると地震時に倒壊リスクが増大。
梁・桁屋根や上階の荷重を支える水平部材。部分的な崩壊で構造バランスを失う。

 特に床下の通気が悪く、湿気がこもるような箇所では、白蟻の侵入・繁殖が進みやすく、柱や土台の下部から被害が始まるケースが多く見られます。

被害が進むとどうなるのか?構造上のリスク

構造体の強度低下

 白蟻は木材の内部から中空化させるため、見た目には無傷に見えても、叩くと「ポンポン」と響く空洞音がしたり、荷重に耐えられないほどスカスカになっていることがあります。

これにより:

  • 壁が傾く
  • 屋根が沈む
  • 地震や強風で倒壊のリスクが増す

といった構造上の致命的な欠陥につながります。

地震時の倒壊リスクが大幅に増す

 柱や土台が白蟻に食害されている家は、構造的に粘りが失われており、地震に非常に弱い状態です。
阪神・淡路大震災や熊本地震などの事例でも、白蟻被害のある住宅は早期に倒壊しやすい傾向が報告されています。

例えば:
白蟻被害がある土台 → 基礎アンカーボルトの効きが弱くなる → 横揺れで一気に崩壊

修復工事は大規模になりやすい

 構造部材が白蟻被害を受けた場合、被害の範囲が床下・壁内・天井裏に広がっていることが多く、修復には:

  • 部分解体
  • 木部の取り替え
  • 防蟻処理の再施工
    が必要になり、数十万〜百万円単位の費用が発生することも珍しくありません。

早期発見と定期点検が被害を防ぐカギ

被害を未然に防ぐためには、以下のような点検と予防措置が重要です。定期点検ポイント

  • 床下の木部を年1回点検(プロまたは自身で)
  • 柱や鴨居を叩いて空洞音をチェック
  • 建具の歪みや床の沈み込みがないか確認
  • 羽アリ・蟻道の有無を観察

予防的な構造設計の工夫

  • ベタ基礎による防蟻性能の向上
  • 基礎パッキンや床下換気口で通気性確保
  • 防蟻処理材の使用や、金属製部材との組み合わせ

 白蟻による構造被害は、表面では判断できない隠れたリスクです。被害がわかる頃には、建物の骨組みが深刻なダメージを受けている可能性があります。

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