「白蟻(しろあり)」という名前から、黒アリの仲間だと思っている方も多いのではないでしょうか?しかし実は、白蟻はアリとはまったく別の種類の昆虫です。
- 黒アリ(クロアリ)…ハチの仲間(膜翅目)
- 白蟻(シロアリ)…ゴキブリの仲間(等翅目)
つまり、白蟻は**湿気のある暗所を好む“隠れた破壊者”**であり、昆虫界ではかなり特殊な存在なのです。
白蟻の社会構造は“巣”の中で完結している
白蟻は社会性昆虫であり、1つの巣の中に役割の異なる個体が分かれて暮らしています。
この仕組みは、まるで“家族”や“会社”のようです。
白蟻の主な役割分担
階級 | 役割 |
---|---|
女王アリ・王アリ | 繁殖担当。巣の中で卵を産み続ける中心存在。 |
働きアリ | 巣作り・餌の運搬・幼虫の世話など、実働部隊。 |
兵隊アリ | 外敵(アリや他の昆虫)から巣を守る役目。 |
羽アリ(有翅虫) | 成熟すると羽を持ち、巣から飛び出して新しい巣を作る。 |
羽アリは、春から夏にかけて大量に飛び出す「群飛(ぐんぴ)」を行い、そこでつがいになるペアが地中に巣を作り始めます。この行動が、家の中で羽アリを見かける原因となります。
白蟻が好む環境とは?
白蟻が生きるためには、特定の条件が必要です。
条件 | 内容 |
---|---|
湿気 | 白蟻は体が柔らかく、乾燥に弱い。高湿度を好む。 |
暗所 | 光を避けるため、地中や床下、壁内部に潜む。 |
木材(セルロース) | 木や紙を主食とする。特に柔らかく湿った木を好む。 |
地面との接触 | 基礎の周辺や地中から侵入し、建物にアクセスする。 |
日本にいる主な白蟻の種類
日本国内で住宅に被害をもたらす主な白蟻は、次の3種類です。
① ヤマトシロアリ
- 【分布】北海道北部を除く全国
- 【特徴】湿った木材を好み、被害範囲は比較的狭い
- 【発生時期】4~5月に羽アリが群飛(昼間)
- 【加害力】小規模ながら見逃すと内部まで進行する
② イエシロアリ
- 【分布】主に西日本(関東以西・四国・九州)
- 【特徴】巣の規模が大きく、乾いた木材にも加害
- 【発生時期】6~7月に羽アリが群飛(夜間)
- 【加害力】非常に強く、被害は構造全体に及ぶことも
③ アメリカカンザイシロアリ(外来種)
- 【分布】関東・東海・関西などで確認
- 【特徴】乾燥した木材に直接巣を作る
- 【発生時期】通年可能(乾材内で発生)
- 【加害力】目に見える蟻道がなく、被害の発見が遅れやすい
⚠ 特にイエシロアリとアメリカカンザイシロアリは、住宅全体に被害を拡大する可能性があり、注意が必要です。
まとめ:白蟻を理解することが最大の防御
白蟻は単なる「虫」ではなく、複雑な社会性を持ち、家という“木の集合体”をエサに生きる生物です。
- 見えないところで静かに進行し、構造を蝕む
- 自分たちで巣を作り、増殖して被害を拡大する
- 種類によって被害の範囲や対応方法が異なる
これらを知っておくだけでも、早期発見・予防・対策の精度が大きく上がります。
目次