地盤調査で出てくる「土の種類」って?

不同沈下特集
粘土・砂・ローム・シラスってどんな土?詳しく解説

 家を建てるとき、まず気にしなければいけないのが「地盤」です。その地盤を調べるために行われる地盤調査では、結果に「粘性土」「砂質土」「ローム」「シラス」など、専門的な土の名前がたくさん出てきます。でも、これらが具体的にどんな土で、どんな性質を持っているのか、普段の生活ではなかなか知る機会がありません。

この記事では、地盤調査でよく出てくる代表的な土の種類とその特徴、メリット・デメリット、建物への影響や注意点まで、詳しく・わかりやすくご紹介します!

そもそも「土の種類」ってなぜ大事なのか?

 住宅の地盤の安全性は、「土の種類」と「土の締まり具合(密度)」によって決まります。特に土の種類は、家を建てた後の沈下や災害リスクに直結するため、とても重要な情報です。

たとえば・・・

  • 柔らかい粘土層では、建物がじわじわ沈む(圧密沈下)
  • 地震時、砂質土では液状化現象が起こる
  • シラス地盤では、大雨時に流動崩壊のリスクがある

このように、地盤の性質により、災害リスクを知ることは、安全で長持ちする家を建てるための第一歩なのです。

◆ 主な成分・見た目

  • 微細な粘土鉱物(直径2μm以下)
  • 触るとねっとり、手にべたつく
  • 乾燥するとカチカチに硬化

◆ 特徴

  • 水分を吸いやすく、含水率が高い
  • 排水性が悪い → ぬかるみやすい
  • 荷重に対してゆっくり沈下(圧密沈下)
  • 乾燥収縮でひび割れが起きることも

◆ メリット・デメリット

メリットデメリット
乾燥すると硬くなる水に弱く、沈下や膨張・収縮しやすい
地下水の遮断層になることも施工に時間がかかる

◆ 建物への影響と注意点

  • 不同沈下リスク大 → 地盤改良や深基礎が必要
  • 基礎形状は、ベタ基礎が有利
  • 雨水排水計画(透水層設置)が大事

シルト質土(しるとしつど)|砂でも粘土でもない、厄介な土

◆ 主な成分・見た目

  • 直径2〜75μm程度の細粒物質
  • 肉眼では砂のように見える
  • 触るとパウダー状、粉っぽい

◆ 特徴

  • 乾燥すると硬く、濡れると急に弱くなる
  • 風や水で移動しやすい
  • 地震時に液状化しやすい性質もある

◆ メリット・デメリット

メリットデメリット
短期的にはある程度の支持力がある水分変動で強度が大きく変わる
施工はしやすい侵食・流動性に注意が必要

◆ 建物への影響と注意点

  • 液状化・流動リスクあり
  • 地盤調査で水分量や密度を確認することが重要
  • 必要に応じて柱状改良などの補強が必要

砂質土(さしつど)|水はけは良いけれど液状化に要注意!

◆ 主な成分・見た目

  • 主に石英粒、粒径0.075〜4.75mm
  • 触るとサラサラ
  • 砂浜の砂に似ている

◆ 特徴

  • 排水性抜群 → 水たまりにくい
  • 締め固めると高い支持力を持つ
  • 地震時に液状化現象を起こすリスクがある

◆ メリット・デメリット

メリットデメリット
排水性が良く、締めれば強い地震時の液状化リスクあり
地盤改良がしやすい粒子が動きやすく、地盤流動の危険あり

◆ 建物への影響と注意点

  • 液状化が懸念される地域では、**対策(表層改良・締固め工法)**必須
  • ベタ基礎+地盤改良が望ましい

礫質土(れきしつど)|天然の強固な支持層

◆ 主な成分・見た目

  • 直径2mm以上の小石や砂利
  • ゴロゴロしていて、硬い手触り

◆ 特徴

  • 支持力が非常に高い
  • 排水性がとても良い
  • 地震や沈下に非常に強い

◆ メリット・デメリット

メリットデメリット
極めて高い支持力掘削・施工が難しいことがある
地震に強い大型礫が混じると杭施工に支障

◆ 建物への影響と注意点

  • 理想的な地盤、基礎は布基礎でも十分
  • ただし礫層の下に軟弱層がないか要注意

ローム(関東ローム層など)|火山灰から生まれた赤土

◆ 主な成分・見た目

  • 火山灰由来の赤茶色の細粒土
  • 乾燥するとパサパサ、湿るとやや粘る

◆ 特徴

  • 強度・支持力が比較的安定
  • 水分を多く含むと流動しやすい
  • 地震時に崩れるケースもあり

◆ メリット・デメリット

メリットデメリット
軽量で施工性が良い雨水を含むと急激に強度が低下
地盤改良しやすい擁壁・排水対策が必須

◆ 建物への影響と注意点

  • 表層が安定していても、下層の確認が重要
  • ベタ基礎+排水対策が望ましい

シラス(南九州特有)|火砕流でできた特異な土

◆ 主な成分・見た目

  • 火山の爆発で噴出した火砕流堆積物
  • 白っぽい灰色や黄色

◆ 特徴

  • 乾燥時は安定、排水性も良い
  • 水を含むと一気に強度低下 → 流動崩壊リスク
  • 地震時も崩壊に注意

◆ メリット・デメリット

メリットデメリット
通常は水はけが良い大雨で崩壊・流動の危険あり
環境負荷が少ない地盤地盤改良が必要なケースが多い

◆ 建物への影響と注意点

  • 必ず地盤改良を施す(柱状改良・砕石パイルなど)
  • 雨水排水と擁壁工事の検討を忘れずに

腐植土(ふしょくど)|有機物がたっぷり、でも家には不向き

◆ 主な成分・見た目

  • 腐った植物や落ち葉などの有機物
  • 黒くてふわふわ、湿っぽい

◆ 特徴

  • 圧縮されやすく、荷重に非常に弱い
  • 腐敗によりガスが発生することも
  • 地中水分を多く含む

◆ メリット・デメリット

メリットデメリット
環境には良い(土壌改良材に使われる)建築用地には極めて不適
保水力が高い沈下・軟弱・ガス発生リスクあり

◆ 建物への影響と注意点

  • 撤去・入れ替え(置換工法)が基本
  • 鋼管杭などを使って支持層へ直接荷重を伝えることが必要

まとめ

 地盤の性質を知れば、家づくりの不安が減ります。地盤調査で出てくる土の種類には、それぞれ性質・リスク・対策法があります。これらを正しく理解することで、

  • 不要な沈下やひび割れを防ぐ
  • 地震や豪雨に強い家を建てる
  • 安心して永く暮らせる住まいを手に入れる ことができるのです。

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