中古住宅を探していると、「この価格ならお得かも」「予算内で理想に近い」と感じる“安い物件”に出会うことがあります。しかし、その価格には理由があることがほとんどです。ここでは、安さの裏に隠れやすい代表的なリスクを整理します。
建物の劣化や不具合が進行している可能性が高い
相場よりも大きく安い中古住宅では、屋根・外壁・基礎・設備などに、すでに劣化や不具合を抱えていることがあります。外観はきれいに見えても、
・雨漏りの痕跡
・基礎のひび割れ
・床下の腐朽や白蟻被害
などが隠れているケースも少なくありません。これらは、購入後に発覚すると修繕費が一気にかさむ原因になります。
修繕・リフォーム費用が購入価格を上回ることがある
「安く買って、あとで直せばいい」と考えがちですが、実際には、必要な修繕や改修を積み上げていくと、新築並み、あるいはそれ以上の費用がかかることもあります。特に、
・屋根・外壁の全面改修
・給排水管の交換
・耐震補強
が必要な場合、数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
耐震性・安全性に大きな不安を抱えている場合がある
安い物件の中には、旧耐震基準で建てられ、耐震補強が一度も行われていない住宅もあります。地震に対する安全性は、「住み続けられるかどうか」に直結する重要なポイントです。
耐震補強が必要と判断された場合、工事の規模や費用、住みながら工事ができるかどうかまで、慎重に検討する必要があります。
法的な問題を抱えているケースがある
価格が安い理由として、
・再建築不可
・建築確認が取れない増改築
・建ぺい率・容積率オーバー
など、法的な制限を抱えていることがあります。こうした住宅は、「今は住めても、将来どうにもならない」というリスクを抱えています。リフォームや建て替え、売却の場面で大きな制約がかかる可能性があるため、事前の確認が不可欠です。
住宅ローンが利用できない、または条件が厳しくなることがある
安い物件ほど、金融機関の評価が低く、住宅ローンが通りにくい場合があります。その結果、
・自己資金を多く用意する必要がある
・金利が高くなる
・希望額を借りられない
といった問題が生じることもあります。
周辺環境や立地条件に問題がある場合も多い
相場より安い理由は、建物だけとは限りません。
・前面道路が狭い
・高低差や擁壁の問題がある
・災害リスクが高い立地
など、敷地や周辺環境に課題を抱えていることもあります。これらは、住み始めてから気づいても、
簡単には解決できない問題です。
まとめ:「安いから」ではなく「理由を理解して判断する」ことが重要
安い中古住宅が、必ずしも悪いとは限りません。問題は、安い理由を理解しないまま購入してしまうことです。
・どこにリスクがあるのか
・自分たちはそれを受け入れられるのか
・将来、どう対応できるのか
を冷静に整理したうえで判断することが、後悔しない中古住宅購入につながります。

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