「どうして日本は、こんなに地震が多いのだろう」多くの方が、一度は疑問に感じたことがあるのではないでしょうか。実は、日本に地震が多いのは偶然ではなく、日本列島が置かれている地球上の位置そのものが、大きな理由です。耐震を考えるうえでは、まずこの前提を知っておくことがとても重要です。
日本列島は「4つのプレートが集まる場所」にある
地球の表面は、1枚の硬い板ではなく、「プレート」と呼ばれる十数枚の岩盤に分かれています。
これらのプレートは、ゆっくりと動きながら、互いに押し合ったり、沈み込んだりしています。日本列島の特徴は、このプレートが 4つも集中してぶつかり合う場所 に位置していることです。
- 太平洋プレート
- フィリピン海プレート
- ユーラシアプレート
- 北米プレート
世界的に見ても、これほど複雑なプレートの境界にある国は多くありません。このため日本では、
常に地下で強い力が蓄積され、それが限界に達したとき、地震として解放されます。
日本の地震は「種類が多い」
日本で起きる地震には、いくつかのタイプがあります。
- 海のプレートが沈み込んで起きる 海溝型地震
- 陸の地下にある断層がずれて起きる 内陸地震
どちらか一方だけであれば対策も立てやすいのですが、日本では この両方が頻繁に起きます。さらに、
- 規模の大きな地震
- 比較的小さくても直下で起きる地震
が混在しており、「どこで、どのタイプの地震が起きるかを正確に予測することはできません」。この点も、日本の地震の大きな特徴です。
「しばらく地震がない」は安心材料にならない
「この地域は、ここ何十年も大きな地震が起きていない」という話を耳にすることがあります。しかし、地震の性質を考えると、地震が起きていない期間が長いことは、必ずしも安心材料にはなりません。むしろ、
- 地下にエネルギーが蓄積され続けている
- いずれ大きく解放される可能性がある
と考えられる場合もあります。地震は、人間の生活リズムや建物の寿命に合わせて起きてくれるものではありません。「起きていないから大丈夫」という考え方が通用しない自然現象なのです。
日本では「地震と共に暮らす」前提が必要
海外では、
- 一生のうちに大きな地震を経験しない地域
- 建物に耐震性能がほとんど求められない国
も存在します。一方、日本では、地震を完全に避けて暮らすことはできません。だからこそ、
- 地震が起きる前提で
- 建物がどう振る舞うかを考え
- 命を守るための備えをする
という考え方が、住宅には求められます。耐震は、「特別な人のための対策」ではなく、日本で家を持つ以上、誰にとっても避けて通れないテーマなのです。
まとめ:地震が多い国だからこそ、住宅被害を知ることが大切
日本に地震が多い理由を知ると、次に気になるのは、
「では、実際にどんな被害が起きてきたのか」
「住宅は、地震によってどう壊れてきたのか」
という点ではないでしょうか。次節では、日本で実際に起きてきた地震と、そのとき住宅にどのような被害が生じたのかを、具体的に見ていきます。

目次