「買ってはいけない中古住宅」という言葉を聞くと、極端に危険な家や、明らかに問題のある物件を想像する方が多いかもしれません。しかし実際には、一見すると普通に見える家の中にも、購入後に大きな後悔につながりやすいケースが存在します。
ここでは、専門家の立場から特に注意が必要と考える中古住宅の代表例を整理します。
ケース① 建築確認・検査済証が確認できない住宅
中古住宅の中には、
- 建築確認申請をしていない
- 検査済証が交付されていない
- 書類が紛失している
といった物件があります。この場合、建物が法令に適合しているかどうかを客観的に証明できません。結果として、
- 将来のリフォームや増改築で制限を受ける
- 金融機関の融資条件が厳しくなる
- 売却時に不利になる
といったリスクを抱えることになります。
ケース② 増改築・用途変更を繰り返している住宅
長年住み継がれた住宅では、
- 無確認での増築
- 間取り変更を繰り返している
- 元の図面と現況が大きく異なる
といったケースが見られます。こうした住宅は、
- 構造バランスが崩れている可能性
- 耐震性が著しく低下している恐れ
- 是正工事が大規模になる可能性
があり、表面的なリフォームでは解決できない問題を抱えていることがあります。
ケース③ 旧耐震基準のまま、耐震改修がされていない住宅
1981年以前に建てられた住宅で、
- 耐震診断を受けていない
- 補強工事が行われていない
場合は、地震時の倒壊リスクを慎重に考える必要があります。特に、
- 重たい屋根のまま
- 壁量が不足している
- 基礎に補強がされていない
といった条件が重なると、購入後に高額な耐震改修が必要になるケースも少なくありません。
ケース④ 再建築不可・法的制限がある住宅
立地条件によっては、
- 接道義務を満たしていない
- 建替えができない
- 建築基準法上の制限が厳しい
といった住宅も存在します。この場合、
- 将来、建替えができない
- 大規模改修に確認申請が必要になる
- 資産価値が下がりやすい
といった点を理解したうえで、覚悟を持って選択する必要があります。
ケース⑤ 修繕履歴・維持管理状況が不明な住宅
中古住宅では、
- いつ、どこを、どの程度修繕したか
- 雨漏りやシロアリの履歴
- 設備更新の時期
が分からない物件も多くあります。このような場合、
- 想定外の修繕費が一気に発生
- 同時期に複数の不具合が起こる
といったリスクが高まります。
「注意すべき住宅」=「絶対に買えない住宅」ではない
ここまで挙げたケースは、すべてが即NGというわけではありません。重要なのは、
- リスクを正しく理解しているか
- 費用や制約を受け入れられるか
- 専門家の助言を得たうえで判断しているか
という点です。知らずに買うことが問題であり、知ったうえで選ぶことは、判断のひとつです。
まとめ
注意すべき中古住宅には、書類・構造・法的条件・維持管理といった見えにくいリスクが共通して存在します。大切なのは「今きれいかどうか」ではなく、将来にわたって安全に、無理なく住み続けられるかという視点。具体的なケースを知ることで、中古住宅選びはより確かな判断へと近づきます。
