増改築・間取り変更が与える影響

増改築・間取り変更が与える影響 耐震特集
「使いやすさ」を優先した結果、耐震性が犠牲になっていないか

 中古住宅の耐震性を考えるうえで、過去にどのような増改築や間取り変更が行われてきたかは、非常に重要なポイントです。一見きれいにリフォームされ、住みやすそうに見える家でも、構造的には大きなリスクを抱えているケースが少なくありません。

増改築は「構造バランス」を崩しやすい

 木造住宅の耐震性は、柱・梁・耐力壁がバランスよく配置されていることで成り立っています。 ところが増改築では、生活の利便性やデザインを優先するあまり、次のような変更が行われがちです。

  • 壁を取り払ってLDKを広くした
  • 和室を洋室に変更した
  • 窓を大きくした、出入口を増やした
  • 1階部分を駐車場や店舗にした

 これらは一見よくあるリフォームですが、耐力壁や柱を減らしてしまっている可能性があります。特に問題なのは、「見えなくなった構造部分」がどう処理されているか分からないことです。

耐力壁を抜いたまま補強されていない家

 古い住宅では、もともと耐震計算が十分に行われていないケースも多くあります。そのような家で耐力壁を撤去すると、地震時の水平力を受け止める力が一気に低下します。よくあるのが、次のような例です。

  • 壁を撤去したが、筋かいや構造用合板による補強がされていない
  • 金物が入っていない、または種類が不明
  • 壁はあるが、実際には耐力壁として機能していない

 内装が新しくなっているほど、こうした問題は表から見えません。「きれい=安全」ではないという点は、ぜひ知っておいていただきたいところです。

増築部分が「別の建物」になっている危険性

 増築によって床面積が増えている住宅では、既存部分との構造的なつながりが重要になります。 ところが実際には、

  • 増築部分の基礎が簡易的
  • 既存建物と一体的に構造計算されていない
  • 接合部が弱く、地震時に動きがズレる

といったケースも多く見られます。このような家では、地震の際に増築部分だけが大きく揺れたり、亀裂や倒壊につながる危険があります。

間取り変更で起きやすい「上下階の不整合」

 2階建て住宅では、1階と2階の壁の位置関係も耐震性に大きく影響します。1階を大空間にして壁を減らし、2階に部屋が集中しているような場合、いわゆる「軟弱層」が生まれやすくなります。これは、阪神・淡路大震災や熊本地震でも多く見られた被害パターンで、1階だけがつぶれるように倒壊する非常に危険な形です。

図面が残っていない家ほど要注意

 増改築を繰り返している住宅では、

  • 確認申請を出していない
  • 図面が現況と一致していない
  • そもそも図面が残っていない

ということも珍しくありません。この場合、書類上は問題が見えなくても、現地で構造を確認しなければ安全性は判断できません。目視調査や、必要に応じた床下・小屋裏の確認が重要になります。

専門家の視点が欠かせない理由

 増改築や間取り変更がある住宅は、「築年数」や「新耐震かどうか」だけでは安全性を判断できないのが実情です。建築士によるチェックでは、

  • どこが構造的に弱くなっているか
  • 補強が必要かどうか
  • 補強するとしたら現実的な方法は何か

といった点を、総合的に判断することができます。

まとめ

 増改築や間取り変更は、住みやすさを向上させる一方で、耐震性を大きく損なう可能性があります。「広くてきれい」「使いやすそう」という印象だけで判断せず、構造がどう変えられてきたのかに目を向けることが、中古住宅購入で後悔しないための重要なポイントです。少しでも不安がある場合は、専門家の第三者チェックを受けることを強くおすすめします。

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