土地は一生もの、とよく言われます。しかし実際には、住み替えや相続という場面が必ず訪れます。
・ 子どもが独立する。
・ 老後、利便性の高い場所へ移る。
・ 介護のために同居する。
人生は想定どおりには進みません。だからこそ、土地を選ぶときに「出口」まで考えておくことが重要です。
将来、売却しやすい土地か
住み替えを想定するなら、まず考えるべきは「流通性」です。
✅ 駅から遠すぎないか
✅ 再建築が可能か
✅ 接道条件に問題はないか
✅ 不整形地ではないか
どんなに愛着があっても、買い手がつかない土地は資産として機能しません。再建築不可物件や接道不備は、後で大きな問題になります。「今住める」ではなく、「将来も売れる」を基準にすることが大切です。
相続で困らない土地か
相続は突然やってきます。そのとき、
- 共有名義で分けにくい
- 境界が不明確
- 越境問題がある
- 建て替えできない
こうした土地は、家族間トラブルの原因になります。特に境界未確定は要注意です。土地家屋調査士による確定測量がされているか。隣地との覚書はあるか。こうした基本的な整備が、将来の安心につながります。
空き家になったときのこと
近年、日本では空き家問題が深刻な社会課題となっています。総務省の統計でも空き家は年々増加しており、地方だけでなく都市部でも放置住宅が目立つようになっています。
立地条件が悪い土地は、相続後に買い手がつかず、そのまま放置される可能性が高まります。駅から遠い、坂がきつい、生活利便施設が少ないといった条件は、若い世代から敬遠されやすく、結果として流通しにくい資産になってしまいます。
管理されない建物は急速に劣化が進みます。屋根や外壁の防水性能が落ち、雨漏りが発生し、内部の構造材が腐朽することもあります。雑草や庭木が伸び放題になれば近隣トラブルの原因にもなりますし、防犯上の不安も生じます。
さらに問題となるのが解体費用です。老朽化が進み危険家屋と判断されれば、最終的には解体せざるを得ません。木造住宅でも数百万円の費用がかかることがあり、その負担は相続人に重くのしかかります。売れない、貸せない、壊すにもお金がかかる――こうした状況は決して珍しくありません。
だからこそ、土地選びの段階で「将来、空き家になったとしても価値が維持できるか」という視点を持つことが重要です。利便性が高く需要のあるエリアであれば、売却や賃貸という選択肢が残ります。つまり、それは“逃げ道のある資産”になります。
土地は今の生活のためだけにあるのではありません。次の世代が扱いやすい形で引き継げるかどうか。その視点こそが、本当の意味での安心につながります。
コンパクト化社会を意識する

日本はすでに人口減少社会に入り、今後もその流れは続くと予測されています。若い世代の人口が減少する一方で、高齢者の割合は増えています。この社会構造の変化は、土地や住宅の価値にも大きな影響を与えます。
近年は「コンパクトシティ」という考え方が各自治体で推進されています。これは、生活機能を一定のエリアに集約し、医療・商業・公共交通などを徒歩圏内にまとめる都市づくりの方針です。つまり、利便性の高い中心部に人が集まり、周辺部の需要は縮小していく傾向があります。
その結果、「駅近」「病院やスーパーが徒歩圏内」「公共交通が充実している」といった条件を備えた土地は、将来的にも需要が安定しやすいと考えられます。一方で、郊外の広い土地や車がなければ生活しにくい立地は、若い世代に敬遠される可能性があります。
もちろん、自然に囲まれた広い敷地でのびのび暮らすことに価値を感じる方もおられます。ライフスタイルによって「良い土地」の基準は異なります。しかし、社会全体の人口動向や都市政策の方向性を無視して判断してしまうと、将来の資産価値や流通性に影響を及ぼす可能性があります。
特に高齢期を迎えたとき、車に頼らず生活できる環境かどうかは重要なポイントになります。買い物、通院、金融機関、公共施設――これらが徒歩圏内にあるかどうかは、生活の質を大きく左右します。
将来の社会構造を見据えるとは、「今の便利さ」だけでなく、「10年後、20年後も選ばれる場所か」を考えることです。
土地は一度選ぶと簡単には変えられません。だからこそ、社会の流れという“長い時間軸”の中で判断する視点が必要なのです。
まとめ
住み替えや相続を見据えた土地選びでは、
- 将来売却しやすい立地か
- 再建築可能か
- 境界や権利関係が明確か
- 空き家になっても価値が残るか
を確認することが重要です。土地は、人生の舞台であり、次の世代へ引き継ぐ財産でもあります。「いつか手放す日」を想像できる人ほど、本当に良い土地を選ぶことができます。
