この「擁壁」は本当に大丈夫? 崩壊を防ぐための完全ガイド

この「擁壁」は本当に大丈夫? 崩壊を防ぐための完全ガイド 擁壁特集

傾斜地や高低差のある土地に家を建てたり、中古住宅を購入したりする際に、見落としてはいけないもの――それが「擁壁(ようへき)」です。

擁壁は、土砂の崩れを防ぎ、敷地を安全に保つための大切な構造物ですが、古くなった擁壁や、基準を満たしていない擁壁は、地震・大雨・経年劣化によって突然崩壊する危険性を抱えています。昭和に造成された古い擁壁が数多く残されており、近年も事故が全国で発生しています。

このカテゴリーでは、

・危険な擁壁の見分け方
・地震時に擁壁が受ける影響
・擁壁の寿命と劣化サイン
・補強や改修が必要なケース
・費用の目安と注意点
・土地選びで気をつけたいポイント

などを、建築士の視点からわかりやすく整理して解説しています。

「この擁壁、大丈夫?」
「買おうと思っている土地に擁壁があるけれど不安…」
「今住んでいる家の擁壁が古いけど、どう判断すればいい?」

そんな疑問や不安を抱える方に、正しい判断ができる知識と安心を届けることがこのカテゴリーの目的です。大切な住まいとご家族の安全を守るために、ぜひ参考にしてください。

目次

第1章 擁壁とは?知っておきたい基礎知識

 1.1 擁壁の役割と日本の擁壁の種類
 1.2 日本に危険な擁壁が多い理由
 1.3 擁壁が崩れるメカニズム(雨・地震・劣化)

第2章 この擁壁、大丈夫?危険な擁壁の見分け方

 2.1 傾斜地に多い“危険サイン”とは
 2.2 目視でできるセルフチェック
 2.3 専門家が見るチェックポイント
 2.4 擁壁をチェックする専門家とは?

第3章 地震が来たとき擁壁はどうなる?

 3.1 擁壁崩壊が起きる典型的なパターン
 3.2 地形と断層が与える影響
 3.3 家が巻き込まれるリスク

第4章 擁壁の寿命と劣化の進み方

 4.1 コンクリート・石積み・ブロック擁壁の寿命
 4.2 劣化を早める原因
 4.3 メンテナンスの必要性

第5章 危険な擁壁への対処法・補強方法

 5.1 まずすべきこと(応急措置と調査)
 5.2 補強工法の種類と特徴
 5.3 新設擁壁に作り替える場合のポイント

第6章 擁壁改修にかかる費用と補助金

 6.1 補強費・改修費の相場
 6.2 工事費が高額になる理由
 6.3 宅地造成工事規制法と自治体補助金

第7章 土地選びで絶対に注意したい擁壁リスク

 7.1 「買ってはいけない擁壁」を知る
 7.2 再建築不可・建築確認が下りないケース
 7.3 安全な擁壁の条件

第8章 擁壁の安全性を守るために専門家ができること

 8.1 擁壁診断の流れ
 8.2 地盤調査と擁壁評価の関係
 8.3 建築事務所でできるサポート

擁壁特集

建築事務所でできるサポート

擁壁の問題に直面したとき、多くの方が「どこに相談すればいいのか分からない」「業者の言うことが本当なのか判断できない」と感じます。  建築事務所の役割は、工事を請け負うことではなく、第三者の立場で状況を整理し、判断材料をそろえることにあります。ここでは、建築事務所が擁壁に関してどのようなサポートを行えるのかを整理します。
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地盤調査と擁壁評価の関係

擁壁の安全性というと、「コンクリートの厚みは?」「ひび割れはある?」と、どうしても擁壁そのものに目が向きがちです。しかし実際には、擁壁の安全性は背後にある地盤の性質と切り離して評価することはできません。ここでは、地盤調査が擁壁評価にどのように関わってくるのか、その考え方を整理します。
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擁壁診断の流れ

擁壁の安全性は、「見た目が大丈夫そう」「今まで崩れていないから安心」といった感覚だけでは判断できません。専門家による擁壁診断は、事故を未然に防ぐための“予防医療”のような役割を果たします。ここでは、実際に専門家が行う擁壁診断が、どのような流れで進むのかを解説します。
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安全な擁壁の条件

 これまで見てきたように、擁壁の中には「今は特に問題が起きていないだけ」のものも多く存在します。しかし、住まいの安全を考えるうえで重要なのは、「今大丈夫か」ではなく、「将来も安心できるか」という視点です。ここでは、購入・建て替え・相続など、どの場面でも共通して使える 「安全な擁壁の条件」 を整理します。
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再建築不可・建築確認が下りないケース

中古住宅や擁壁付きの土地を検討する際、多くの人が見落としがちなのが、「将来、建て替えができるかどうか」という視点です。現在建物が建っていて、普通に暮らせているとしても、その土地が再建築不可、あるいは建築確認が下りない状態であるケースは、実際に少なくありません。特に擁壁が関係する土地では、この問題が顕在化しやすくなります。
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「買ってはいけない擁壁」を知る

不動産情報を見ていると、「擁壁あり」「造成済み」「ひな壇造成」といった言葉をよく目にします。一見すると、すでに整備されていて安心できそうに感じますが、擁壁がある=安全な土地とは限りません。むしろ、擁壁の状態や造られた時代によっては、将来大きなリスクを抱えた土地である可能性もあります。家は建て替えや補修ができますが、土地と擁壁は簡単にやり直せない――それが、この問題の本質です。
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宅地造成工事規制法と自治体補助金

擁壁の安全性を考えるうえで、費用の問題と並んで必ず知っておきたいのが、「法律」と「補助金制度」です。特に日本の住宅地は、傾斜地を造成してつくられた土地が非常に多く、擁壁は単なる私有物ではなく、周囲の安全にも大きく影響する構造物として扱われています。そのため、擁壁の新設・改修・作り替えには、一定のルールが設けられており、条件によっては補助金が利用できる場合もあります。
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擁壁改修工事費が高額になる理由

擁壁改修の見積りを見たとき、「思っていたよりも高い」「なぜここまで費用がかかるのか分からない」と感じる方は少なくありません。しかし、擁壁工事の費用が高額になりやすいのには、構造物としての特性だけでなく、住宅地特有の施工条件が大きく関係しています。
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擁壁改修にかかる費用

 擁壁の改修費用について調べると、「いくらかかるのか分からない」「見積りの差が大きすぎて判断できない」と感じる方が多いのではないでしょうか。  これは、擁壁工事の費用が、擁壁の種類・高さや延長・劣化の進行度・敷地条件・工事方法など、さまざまな要因によって大きく変わるためです。まず理解しておきたいのは、擁壁工事には一律の相場は存在しないという点です。
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新設擁壁に作り替える場合のポイント

 既存の擁壁が著しく劣化している場合や、補強工法では安全性を確保できないと判断された場合には、擁壁を一度撤去し、新たに作り替える「新設擁壁」という選択肢が必要になります。これは最も大がかりで費用もかかる対処法ですが、長期的な安全性と安心感を得られる唯一の方法となるかもしれません。しかしながら、敷地条件、法規制などで作り替えることができない場合もケースケースも少なくありませんので、十分な検討が必要です。