住宅トラブルの中でも、特に深刻になりやすいのが「不同沈下」や「建物の傾き」です。
不同沈下とは、建物全体が均等に沈むのではなく、一部だけが不均等に沈下する現象を指します。
住んでいる方からは、「床がなんとなく傾いている気がする」「ドアや引き戸が勝手に動く」「家具やボールが転がる」といった、最初は曖昧な違和感として相談を受けることが多いのが特徴です。
不同沈下で現れやすい症状
不同沈下が起きると、次のような症状が現れます。
- 床や廊下が傾いている
- 建具(ドア・引き戸)が閉まりにくい、自然に開く
- 外壁や内壁にひび割れが増える
- 窓やサッシの開閉が重くなる
- 家具の配置が安定しない
これらは単なる「経年変化」と誤解されやすく、長期間放置されるケースが非常に多いのが実情です。
不同沈下が起こる主な原因
不同沈下の原因は、大きく分けて「地盤」と「基礎」にあります。
① 地盤調査・判断の不足
地盤調査を簡易的に済ませてしまい、
- 軟弱層の存在
- 盛土・埋立地であること
- 地形的な不利(谷埋め・斜面)
などを十分に考慮せず建築された場合、沈下が起こりやすくなります。
② 不適切な基礎形式の選択
地盤条件に対して、
- ベタ基礎・布基礎の選択が不適切
- 基礎の配筋不足
- 不同沈下を考慮した設計がされていない
といったケースでは、地盤の影響を直接受けてしまいます。
③ 造成・盛土の施工不良
特に多いのが、
- 締固め不足
- 表面だけを整えた造成
- 古い造成地での再利用
による沈下です。
時間差で沈下が進行するため、新築後数年経ってから問題が表面化することもあります。
不同沈下を放置するとどうなるか
不同沈下は、自然に元に戻ることはありません。
むしろ、放置することで次のような問題が連鎖的に発生します。
- 構造材に偏った力がかかる
- 柱・梁・基礎にひび割れが進行
- 耐震性能の低下
- 雨漏りや隙間風の発生
特に注意すべきなのは、耐震性への影響です。建物が傾いた状態では、設計時に想定した力の流れが崩れ、大地震時に被害が拡大する恐れがあります。
「傾いているかも?」と思ったときの判断ポイント
住まい手ができる初期チェックとして、次のような点があります。
- 床にビー玉を置くと転がるか
- 建具が自然に動くか
- 家の中で場所によって症状が違うか
- 年々症状が悪化していないか
ただし、感覚だけでの判断は危険です。傾きは数ミリ単位でも、居住性や構造に大きく影響します。
専門家による調査で何が分かるのか
専門家が調査を行うことで、
- 建物の傾斜量(数値)
- 傾きの方向と範囲
- 地盤・基礎との関係
- 改修の可否と概算的な方向性
を客観的に整理できます。「直せるのか」「どの程度の工事になるのか」を判断するためにも、
早い段階での専門的な調査が重要になります。
まとめ|不同沈下は「気づいた時点」が分かれ道
不同沈下・建物の傾きは、
- 気づくのが遅れるほど
- 被害範囲が広がり
- 改修の難易度と費用が増す
という特徴があります。「住めているから大丈夫」「古い家だから仕方ない」と判断する前に、一度立ち止まり、正しい現状把握を行うことが大切です。不同沈下は、欠陥住宅トラブルの中でも、早期対応がもっとも結果を左右する不具合だと言えるでしょう。
「不同沈下」に関しては、以下のカテゴリーで特集を組んでいますので、是非、ご一読下さい


目次