引渡し時のチェック(内覧会の臨み方)

 引き渡し時には、内覧会というものがあります。内覧会は、建物の工事が完了した後、引き渡し前に施主が建物の状態を確認するために行われる重要なイベントです。内覧会では、施主が実際に建物を見て触れて、施工が設計図や契約内容に沿って行われているか、不具合がないかを確認する場となります。内覧会の臨み方、その際のチェックポイント等を詳しく説明します。

内覧会の目的

  1. 施工内容の確認:
    • 内覧会の主な目的は、建物が設計図や施主の要望通りに仕上がっているかを確認することです。施主は、この機会に建物の細部までチェックし、もし問題があれば建設会社に修正を依頼します。
  2. 不具合の発見:
    • 内覧会では、壁や床、天井、設備などの仕上がりを注意深く確認し、不具合や施工ミスがないかを確認します。不具合が発見された場合は、内覧会の段階で修正を依頼することができます。
  3. 建物の使い勝手の確認:
    • 施主が建物の内部を実際に見て、ドアや窓の開閉、設備の操作、収納の使い勝手などを確認します。住み始める前に、これらの機能が問題なく動作するかを確かめることが重要です。

内覧会での確認ポイント

 内覧会での確認ポイント引き渡し時に施主がチェックすべきポイントをさらに詳しく説明します。引き渡し時には、内覧会というものがあります。内覧会は、特に、要望や図面通りに工事が行われているか、壁の仕上げに汚れやキズがないかを重点的に確認する必要があります。

内装の仕上がり

  • 要望・図面通りに施工されているか:
    • 施主の要望や図面通りに施工が行われているかを確認します。設計図や仕様書を手元に持ちながら、各部屋や設備が正しく配置されているか、サイズや形状が合っているかを細かく確認します。例えば、コンセントやスイッチの位置、収納のサイズや配置、照明器具の取り付け場所などが希望通りになっているかを確かめます。
    • 特にオーダーメイドの家具や特別なデザイン要素がある場合、それらが正確に再現されているかを確認します。
  • 壁や天井の仕上げ:
    • 壁や天井の仕上がりに注意深く目を向けます。クロス(壁紙)が均一に貼られているか、接合部分や角の処理が丁寧に行われているかを確認します。特に、接着剤の浮きや剥がれがないか、施工の過程でできたと思われる汚れやキズがないかをチェックします。
    • 壁の塗装の場合は、ムラや刷毛跡が残っていないか、色が均一かを確認します。また、天井の仕上げも同様に、ムラや異常がないかを細かくチェックします。
  • 床の状態:
    • フローリング、タイル、カーペットなどの床材が均一に敷かれているかを確認します。特に、継ぎ目に隙間がないか、床材に傷や汚れがないかをチェックします。また、床がしっかりと固定されているか(浮いている感じがないか)も重要です。
    • 床鳴りが発生しないかどうかも確認します。歩いたときにきしむ音がしないか、床材がしっかり固定されているかを確かめることが重要です。

設備の動作確認

  • 水回り設備:
    • キッチン、バスルーム、トイレなどの水回り設備が正常に動作するかを確認します。蛇口を開けて水の出方を確認し、水漏れがないかをチェックします。また、排水がスムーズに行われるか、逆流や詰まりがないかも確認します。
    • 温水器の設定温度でお湯が正常に出るか、温度調整がスムーズに行えるかもチェックします。
  • 電気設備:
    • 照明、スイッチ、コンセント、換気扇、インターフォンなど、すべての電気設備が正常に動作するかを確認します。スイッチをオン・オフして照明が正常に点灯するか、コンセントに機器を差し込んで通電するかをチェックします。
    • 配電盤のブレーカーが適切に作動するか、各回路に異常がないかを確認します。また、緊急時に備えて漏電ブレーカーの機能もテストします。
  • 給湯設備:
    • 給湯器やボイラーが正常に動作し、お湯が適切に供給されるかを確認します。お湯の出が悪い、温度が不安定、もしくは設定温度と実際の温度が合わない場合は、設定や配管に問題がないか確認が必要です。

外装と防水処理

  • 屋根と外壁:
    • 屋根材や外壁材が正しく取り付けられているかを確認します。屋根材にズレや割れがないか、外壁にひび割れや施工不良がないかをチェックします。また、雨樋が正しく設置されており、雨水の排水がスムーズに行われるかを確認します。
    • 外壁の防水処理が適切に行われているかを確認し、バルコニーやテラスの床面の防水処理の状況も注意深くチェックします。水が溜まりやすい箇所がないか、排水口が詰まっていないかも確認します。

収納スペースと家具の設置

  • クローゼットや収納棚:
    • クローゼットや収納棚が設計通りに作られているか、棚板がしっかりと取り付けられているかを確認します。扉の開閉がスムーズに行えるか、内装が綺麗に仕上がっているか、傷や汚れがないかもチェックポイントです。
    • 引き出しや扉の取っ手がしっかりと固定されているか、また、引き出しがスムーズに開閉できるかを確認します。
  • 据え付け家具:
    • キッチンカウンターや洗面台、シューズボックスなどの据え付け家具がしっかりと固定されており、水平に設置されているかを確認します。また、家具の表面に傷や汚れがないかもチェックします。

防犯設備

  • 鍵とセキュリティシステム:
    • 玄関ドアや窓の鍵がスムーズに開閉でき、施錠時に隙間がないか確認します。鍵の動作が硬い、もしくは緩い場合は、調整が必要です。また、防犯カメラやセンサーが設置されている場合、それらの動作確認を行い、異常がないかをチェックします。

通風と換気

  • 換気システム:
    • 換気システムが設計通りに作動しているかを確認します。換気扇の音が静かで、異常な振動や音がないかをチェックします。湿気がこもりやすい場所(特に浴室やトイレなど)の換気が十分に機能しているかを確かめます。

その他の注意点

  • 床下・天井裏:
    • 床下や天井裏の点検口を開けて、配管、断熱材、防水処理が適切に行われているか確認します。特に配管の結露や漏水がないか、断熱材が適切に敷かれているかをチェックします。
    • 床下の湿気やカビの兆候がないかも確認します。必要に応じて、床下の防湿シートや換気設備の設置を確認することも重要です。
  • 周辺環境との調和:
    • 外構(エクステリア)や植栽が設計通りに仕上がっているかを確認します。隣接する建物や道路との境界が明確にされているか、またエクステリアのデザインが周囲の環境と調和しているかもチェックします。

書類の確認

  • 保証書:
    • 各設備や建物自体の保証書が全て揃っているか確認し、保証内容を理解しておきます。特に、保証期間やアフターサービスの内容について詳細を確認し、問題があればすぐに対処できるように準備します。
  • 取扱説明書:
    • 各設備の取扱説明書が揃っているかを確認し、特に重要な操作やメンテナンス項目について理解しておくことが大切です。設備の使用方法やメンテナンス手順を確認し、日常的に適切に使用することで、設備の寿命を延ばし、トラブルを未然に防ぎます。

引き渡し書の確認

  • 引き渡し書の内容確認:
    • 引き渡し書には、工事内容、保証事項、最終的な工事の状態が詳細に記載されています。施主はこの書類を丁寧に確認し、すべての項目に納得した上で署名することが求められます。この書類に署名することで、施主は工事が契約通りに完了したことを認め、建設会社の責任が終了することになります。
    • 署名の前に、特に不明点や納得できない点があれば、建設会社に質問し、必要な説明や修正を依頼することが重要です。これにより、後のトラブルを未然に防ぐことができます。

最終的な点検とフォローアップ

  • 最終点検:
    • 引き渡し前にもう一度全体を見渡し、見逃していた問題がないかを確認します。最終点検は、すべての施工部分が期待通りの仕上がりであることを確認する最終チャンスです。
    • 問題が見つかった場合、可能な限りその場で解決するか、引き渡し後の修正として書類に記載しておくことが重要です。
  • フォローアップ:
    • 引き渡し後も、建設会社によるアフターサービスが提供されることが一般的です。引き渡し後に発見された問題や不具合については、保証期間内であれば無償で修理が行われる場合が多いです。施主はこのサービスを有効に活用し、必要に応じて適切な対応を依頼することが重要です。
    • 定期的な点検とメンテナンスを実施することで、建物の品質を長期間維持し、トラブルを防ぐことができます。

不具合が見つかった場合の対処方法

  1. 不具合の記録と報告:
    • もし不具合が見つかった場合は、まずその箇所を写真に撮るなどして記録します。不具合の内容や場所、状況を詳細にメモしておくことが重要です。
    • 記録が整ったら、すぐに建設会社の担当者に報告します。不具合については、できるだけ具体的に説明し、どういった修正が必要かを明確に伝えます。
  2. 不具合の修正依頼:
    • 不具合が確認された場合、建設会社に対して正式な修正依頼を行います。この際、修正の内容やスケジュールを明確にし、文書で確認することが推奨されます。修正内容については、後々のトラブルを避けるため、口頭ではなく書面で合意することが重要です。
  3. 再確認の実施:
    • 修正が完了した後、再度その箇所を確認します。修正が適切に行われたか、不具合が解消されているかを慎重にチェックします。この際にも、修正箇所の写真を撮り、記録を残しておくと良いでしょう。
    • もし修正後も問題が解決していない場合は、再度修正を依頼し、納得がいくまで確認を続けることが重要です。
  4. 最終的な合意:
    • 修正が完了し、不具合がすべて解消されたことを確認したら、引き渡し書に署名することになります。この時点で工事が完了し、建設会社から正式に建物が施主に引き渡されることになります。

不具合の確認方法

  1. 視覚的な確認:
    • 目視による確認は、引き渡し時の基本的な方法です。壁、天井、床、設備、外装などを細かく観察し、不具合がないか確認します。特に、施工が隠れがちな箇所(クローゼットの内部や天井裏、配管周りなど)は見落としがちなため、注意深くチェックします。
  2. 触覚的な確認:
    • 手で触れることで、目では見えにくい不具合を発見することができます。例えば、壁の凹凸、床の浮き、タイルの貼り付け具合などは、実際に触れて確認することで異常を発見しやすくなります。
  3. 機器による確認:
    • 照明やコンセントの動作確認、換気扇の動作確認など、実際に電源を入れて機器が正常に動作するかを確認します。また、漏電ブレーカーの作動や配電盤の状態もチェックし、安全性を確認します。
  4. 専門家による確認:
    • プロのインスペクター(住宅検査士)に依頼するのは非常に有効な方法です。インスペクターは専門的な知識と経験を持っており、施主が見逃しがちな不具合や施工ミスを発見することができます。インスペクターによる詳細な検査を受けることで、建物の品質に自信を持つことができます。

プロのインスペクターに依頼する利点

  1. 専門的な視点からの検査:
    • インスペクターは建物の構造や設備に関する豊富な知識を持っており、専門的な視点から不具合を見つけ出します。これにより、施主が気づかない可能性のある問題点も早期に発見することができます。
  2. 公正な評価:
    • インスペクターは第三者としての立場から公正な評価を行います。建設会社と施主の間で意見が対立した場合、インスペクターの評価が判断材料として役立つことがあります。
  3. 将来的なリスクの回避:
    • インスペクターの検査により、将来的に問題を引き起こす可能性のある箇所を事前に特定し、対処することができます。これにより、大規模な修繕や追加費用を回避できる場合があります。
  4. 安心感の提供:
    • プロのインスペクターによる確認を経て、施主は安心して建物を受け取ることができます。すべてが適切に施工されていることが確認できれば、引き渡し後の不安も大幅に軽減されます。

 不具合が見つかった場合は、迅速に対応し、必要に応じてプロのインスペクターの力を借りることで、確実に問題を解決し、安心して新しい住まいを受け取ることができます。

 このようにすることで、引き渡し時に施主が自分の要望や図面通りに工事が行われているかを確認し、壁の仕上げに汚れやキズがないかなど、細部まで安心して確認できるようになります。引き渡しは建設プロセスの重要な節目であり、ここでの確認が施主の満足度と建物の長期的な品質に大きく影響しますので、慎重に行うことが大切です。

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