断熱を理解するためには、まず「熱がどのように移動するのか」を知ることが大切です。 実は、熱の伝わり方はたった3つしかありません。
- 伝導(でんどう)
- 対流(たいりゅう)
- 輻射(ふくしゃ)
住宅の暑さ・寒さは、すべてこの3つの現象の組み合わせで起こっています。順番に見ていきましょう。
伝導とは何か
伝導とは、「物と物が直接触れて熱が移動すること」です。例えば、熱いスープに入れた金属スプーンを持つと、手が熱くなります。これはスプーンを通じて熱が伝わってきているからです。
住宅では、次のような場面で伝導が起こります。
- 冬に窓ガラスを触ると冷たい
- 外壁が太陽で熱せられ、室内側が暖まる
- コンクリート基礎から床へ冷気が伝わる
特に金属は熱を通しやすく、木材は通しにくいという性質があります。この「熱の通しやすさ」を数値化したものが熱伝導率(λ値)です。断熱材は、この伝導をできるだけ小さくするための材料なのです。
対流とは何か
対流とは、「空気や水などの流体が動くことで熱が運ばれる現象」です。暖房をつけると天井付近が暖かくなり、足元が寒いことがありますよね。これは暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下にたまる「自然対流」が起きているためです。
住宅では、
- 壁の中で空気が動く
- 小屋裏で暖気が滞留する
- すき間風が発生する
といった現象が対流によるものです。いくら高性能な断熱材を入れても、すき間が多い家では対流で熱が逃げてしまいます。「気密」が重要なのです。断熱と気密は、必ずセットで考える必要があります。
輻射とは何か
輻射とは、「電磁波(赤外線)によって伝わる熱」です。太陽の光で暖かく感じるのは、この輻射によるものです。ストーブの前に立つと、離れていても体が温まるのも同じ現象です。
住宅では、
- 夏の強い日差しが室内を暑くする
- 冬の窓際がひんやり感じる
- 床暖房がじんわり暖かい
といった現象が輻射によるものです。実は、冬に寒く感じる原因の多くは「空気温度」ではなく、冷たい壁や窓からの輻射冷却です。
これを防ぐために、
- 高断熱窓
- 断熱性の高い壁
- 遮熱対策
が重要になります。
3つの熱は同時に起きている
住宅の中では、伝導・対流・輻射が同時に発生しています。
例えば冬の窓では:
- ガラスを通じて熱が逃げる(伝導)
- 窓際で冷気が下降する(対流)
- 冷えた窓面から体温が奪われる(輻射)
つまり、断熱とはこの3つを総合的に抑える技術なのです。
断熱の本質とは
断熱とは、単に「断熱材を厚くすること」ではありません。
✅ 伝導を抑える(高性能断熱材)
✅ 対流を防ぐ(気密施工)
✅ 輻射を制御する(窓性能・遮熱)
この3つをバランスよく整えることで、初めて「本当に快適な家」になります。
