かつては「確認申請といえば新築のときにだけ必要なもの」と考えられていました。しかし、2025年の法改正で4号特例が廃止・縮小されたことにより、小規模住宅でもリフォームや改修工事の内容によっては確認申請が必要になる時代がやってきました。
「たった数本の筋交いを入れるだけだから申請なんて不要でしょ?」
「壁を取っ払って広いLDKにしたいだけだし…」
そんなふうに思ってリフォーム工事を進めてしまうと、法令違反となってしまう恐れがあります。
具体的に「どんなリフォーム」が対象になるの?
確認申請が必要になる可能性がある代表的な工事
リフォーム内容 | 申請の必要性の有無 | 理由・解説 |
---|---|---|
耐震補強(筋交い追加、構造壁の新設) | 原則、必要 | 建物の構造耐力に関係するため |
耐力壁や柱の撤去を伴う間取り変更 | 原則、必要 | 耐震性能や安全性が変化する |
床を抜いて吹き抜けを設ける(天井の撤去) | 原則、必要 | 上階の荷重の伝達経路に影響を及ぼす可能性 |
ロフト新設・増築(増築面積にかかわらず) | 条件により必要 | 面積や構造への影響によっては確認申請が必要 |
屋根の軽量化リフォーム | 構造変更があれば必要 | 構造計算の前提が変わる可能性 |
サッシ交換や断熱改修、外壁張り替えなど | 原則不要 | 建物の構造体に関係しないため |
なぜ確認申請が必要なの?―「構造上の安全性」の確保が目的
建築基準法は、人命を守るための最低限のルールです。なかでも「構造」に関する部分は、建物の倒壊や損壊を防ぐための根幹です。
とくに耐震補強や間取り変更は、構造体に影響を及ぼすことが多いため、改修後の建物も安全性を満たしていることを第三者(行政や確認審査機関)が確認する必要があるのです。
「耐震補強」=良いことでも、手続きは必要
「地震に強くするだけなんだから、むしろ良いことなのに、なぜ面倒な申請が必要なの?」と思うかもしれません。しかし、耐震補強にも設計の良し悪しがあります。
- 筋交いを適切なバランスで入れなければ、建物のねじれが発生しやすくなる
- 補強箇所ばかりが強くなり、弱い部分に被害が集中してしまう
- 基礎や柱とつながっていない補強は、期待通りに効果を発揮しない
こうした施工不良や設計ミスを防ぐために、確認申請を通じて事前に内容をチェックする仕組みが導入されています。
間取り変更も注意!「耐力壁」ってどれ?
耐力壁とは、地震や風圧などの横からの力に抵抗する重要な壁です。これを不用意に撤去すると、建物全体の強度が著しく下がることがあります。たとえば以下のような工事は注意が必要です:
- 押入れの壁を取り払って隣の部屋とつなげる
- 階段横の壁を取り除いてオープンな空間にする
- キッチンの壁をなくして対面キッチンに変更する
「間仕切り壁」と思っていたけど、実は耐力壁だった…!」というケースも多いため、必ず建築士に構造を確認してもらうようにしましょう。
事前に確認すればリスクは回避できる
「知らずに違法建築になってしまった」
「確認申請が必要と知らずに工事を始めてしまい、途中でストップ」
「中古住宅を買った後に増築が無申請だったことが判明」
こうしたトラブルを避けるためには、事前に申請の必要性を建築士や行政に確認することが非常に重要です。最近では、リフォームに強い「住宅医」や「増改築相談員」などの専門家もいるので、相談してみるのも良い方法です。
まとめ:リフォームも“法令順守”の時代へ
昔と違い、これからの時代はリフォームでも確認申請が必要になるケースが増えるということを、施主も工事関係者もきちんと理解しておく必要があります。
「せっかくのリフォームが違法工事に…」とならないように、一つひとつの工事の内容を丁寧に確認し、必要な手続きをきちんと行うことが大切です。
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