耐震改修工事が必要なケース・不要なケース

改修工事が必要なケース・不要なケース 耐震特集
すべての家が「耐震改修すべき」とは限らない

 耐震診断を受けると、多くの方がまず気になるのが「この家は、耐震改修が必要なのか?」「それとも、今すぐ工事をしなくても大丈夫なのか?」という点です。

 実は、耐震診断の結果=必ず耐震改修が必要というわけではありません。建物の状態や使い方、将来の計画によって、改修が必要なケース急いで改修しなくてもよいケースがあります。ここでは、その考え方を整理していきます。

改修が「必要」と判断される主なケース

 次のような条件が重なっている場合は、耐震改修を前向きに検討すべきといえます。

旧耐震基準で建てられている住宅

 旧耐震基準の住宅(1981年〈昭和56年〉以前の建物)は、「震度5程度で倒壊しない」ことを前提に設計されています。現在想定されている大地震(震度6強〜7)に対しては、倒壊・大破のリスクが高いと考えられます。特に以下のような建物は注意が必要です。

  • 築年数が古く、構造的な補強が一度も行われていない
  • 増改築を繰り返しているが、構造検討がされていない
  • 耐震診断で評点が低い(一般的に1.0未満)

震診断の評点が明らかに低い場合

 耐震診断の結果が、例えば次のような場合です。

  • 上部構造評点が 0.6以下
  • 一部の方向(X方向・Y方向)だけ極端に弱い
  • 壁量不足やバランスの悪さが指摘されている

 このような住宅は、地震時に倒壊・大きな変形を起こす可能性が高いため、
居住を続けるのであれば、改修を検討すべき段階にあるといえます。

家族構成・生活を守る必要性が高い場合

 建物の性能だけでなく、「誰が住むのか」も重要な判断材料です。

  • 高齢者が住んでいる
  • 小さな子どもがいる
  • 災害時に自力で避難しにくい家族構成

 このような場合、「倒壊しないこと」だけでなく「地震後も住み続けられる可能性を高める」
という観点から、耐震改修の意義は大きくなります。

改修が「必ずしも不要・急がなくてもよい」ケース

 一方で、次のような場合は、すぐに大規模な耐震改修を行わなくてもよいと判断されることもあります。

新耐震基準以降で、構造的に大きな問題がない場合

 1981年以降に建てられた住宅で、

  • 構造計画が比較的しっかりしている
  • 耐震診断で評点がおおむね 1.0以上
  • 増改築や大きな間取り変更がない

といった場合、現時点で緊急性の高い耐震改修は不要と判断されることもあります。

近い将来、建て替えや住み替えを予定している場合

 例えば、

  • 数年以内に建て替えを予定している
  • 相続や売却を前提としている
  • 仮住まい的に短期間だけ使用する

 このような場合、高額な耐震改修費用をかけることが、必ずしも合理的とはいえないケースもあります。この場合は、

  • 応急的な安全対策
  • 家具の転倒防止
  • 危険な部分のみの部分補強

といった現実的な対策を選ぶ考え方もあります。

建物以外の条件が前提を満たしていない場合

 耐震改修は、建物単体だけで完結するものではありません。

  • 地盤に問題がある
  • 擁壁に問題がある
  • 基礎が著しく劣化している
  • 接道条件や法規制により大規模工事が難しい

このような場合、耐震改修を行う前に、別の課題整理が必要になることもあります。

大切なのは「白か黒か」で決めないこと

 耐震改修は、「やるべき」「やらなくていい」という二択で判断するものではありません。

  • どの程度の安全性を目指すのか
  • どこまで費用をかけられるのか
  • どれくらいの期間、住み続けるのか

こうした条件を整理したうえで、その家、その家族に合った判断をすることが重要です。

まとめ

  • 耐震改修工事が必要かどうかは、建物・人・将来計画を総合的に判断する
  • 旧耐震・低評点・家族の安全性が高い場合は改修を前向きに検討
  • 新耐震・短期利用・将来計画次第では急がなくてもよいケースもある
  • 「全部改修」だけでなく「段階的・部分的」な考え方も大切

 いずれにしても、改修の必要性に関しては、将来のライフスタイルを含めて、耐震診断を行った建築士に相談するのが一番良いと思います。

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