雨水排水・敷地勾配など外構の工夫

白蟻から家を守るために知っておきたい基礎知識
白蟻を「寄せつけない地形と排水計画」が、建物を守る外構になる

 白蟻対策というと、建物の内部や構造ばかりに目が行きがちですが、建物のまわり(外構)こそ、白蟻を寄せつけない第一防衛ラインです。湿気や水たまりを放置しておけば、いくら内部を防蟻処理しても効果は限定的です。この節では、白蟻を寄せつけないための「雨水排水計画」と「敷地勾配設計」、および外構における具体的な工夫について解説します。

なぜ外構が白蟻対策になるのか?

 白蟻の多くは地面から建物に侵入してきます。その際、土壌が常に湿っていると、白蟻が活動しやすくなるのです。

湿気・水たまり = 白蟻の活動しやすいフィールド
外構の排水不良 = 土台・基礎周りを侵す入口になる

雨水排水の基本は「速やかに、敷地外へ」

雨水処理の基本方針

対策内容説明
屋根の雨水排水計画軒樋→縦樋→排水マス→公共桝・雨水浸透マスへ接続。排水が外壁や基礎にかからないよう配管処理する。
庭や通路の表面排水勾配(2%以上)を確保し、建物から水が離れるように設計。水たまりをつくらない舗装材・透水性素材も有効。
雨水浸透桝・浸透トレンチ敷地内に排水できない場合は、地中へ雨水を自然浸透させる工法を採用。

特に基礎周りに水が集まらないようにすることが重要です。

敷地勾配の設計ポイント

 敷地の造成時や外構設計時には、建物から外側へ水を流すような地形=“逆勾配を避ける”ことが必須です。

勾配設計の基本

場所推奨勾配
建物周囲建物から外側へ2%以上の下り勾配を確保
アプローチ・玄関前少なくとも1/50(2%)以上の排水勾配を確保
コンクリート舗装・犬走り水たまりができないよう、雨水を速やかに排出するよう設計

敷地がフラットすぎる場合は、擁壁・排水管・雨水マスの組み合わせで人工的に排水系を確保することが必要です。

外構における防蟻対策の工夫

白蟻が好まない環境を外構に作るには?

工夫説明
基礎周りに防草シート+砂利敷き雑草を防ぎつつ、白蟻の蟻道形成を妨げる。点検性も確保できる。
ウッドデッキの高さと風通し地面に接するようなウッドデッキは避け、基礎から離して設置し、床下を風通しよく。
収納や物置の設置方法基礎周りに接触しないよう、構造体と独立させて配置する。防湿対策も忘れずに。
植栽計画の工夫基礎近くに水やりが頻繁になる植物を配置しない。また、つる植物や樹木の根が基礎に触れないよう配慮。

まとめ:白蟻は「構造」だけでなく「地面」も見ている

 白蟻は建物の構造だけでなく、その建物がどんな敷地環境に建っているかも敏感に見ています。
だからこそ、敷地勾配・排水計画・外構素材選びのひとつひとつが、白蟻を寄せつけない設計につながるのです。

家を守る第一歩は、雨水を建物に近づけないこと。
外構計画こそ、白蟻対策の“地上戦”です。

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