白蟻の存在を最初に察知できるきっかけとして最も多いのが、「羽アリの飛来」です。特に春から初夏にかけて、家の中やまわりで羽アリを見かけた場合、その近くに白蟻のコロニー(巣)が存在する可能性が高いと考えられます。
羽アリとは?
羽アリとは、白蟻のなかでも巣から分かれて新しい巣を作るために飛び立つ繁殖階級の個体です。
この現象を「群飛(ぐんぴ)」と呼びます。
群飛の目的
- 白蟻の巣が成熟し、ある一定の個体数に達すると、
- 羽を持った雄と雌が一斉に飛び出し、
- 飛んだ先でつがいとなって新しい巣を形成する
つまり、羽アリは**次世代の巣づくりのための“旅立ち”**をしているのです。
いつ飛ぶのか?(群飛の時期と時間帯)
白蟻の種類 | 群飛時期 | 群飛時間帯 |
---|---|---|
ヤマトシロアリ | 4〜5月 | 昼間(午前中〜午後) |
イエシロアリ | 6〜7月 | 夜間(明かりに集まる) |
アメリカカンザイシロアリ | 通年(特に5〜9月) | 昼間または夕方 |
羽アリが屋内で発生した場合、その建物内に白蟻の巣がある可能性が極めて高いといえます。
羽アリとクロアリの見分け方
見た目が似ているため、黒アリと間違われやすいのですが、白蟻の羽アリには明確な特徴があります。
項目 | 白蟻の羽アリ | クロアリ |
---|---|---|
体色 | 茶色〜黒褐色(透明感あり) | 黒っぽい(光沢あり) |
腰のくびれ | ない(寸胴体型) | くびれている(アリ型) |
翅の大きさ | 4枚とも同じ長さ | 前翅が後翅より長い |
翅の付き方 | 両翅がほぼ重なる | 翅がやや開いてつく |
触角の形 | 数珠状でまっすぐ | 折れ曲がるような形 |

ヤマトシロアリ

イエシロアリ

クロアリ
見分けポイント:翅の長さが全部同じで、腰が寸胴なら白蟻の可能性大!
羽アリを見つけたらどうする?
羽アリを見たときにやるべきことは以下のとおりです。
初期対応のポイント
- 発生場所を記録する(時間・場所・数)
- 落ちた羽や個体を保管する(種類判別のため)
- 殺虫剤で対処せず、まずは冷静に専門家へ相談
殺虫剤は巣に届かず、被害を広げる恐れもあるため、プロによる調査が最優先です。
羽アリを見かける環境は危険信号
羽アリが発生するということは、すでに以下のような環境条件が整っていると考えられます:
- 床下や壁内に湿気が多くこもっている
- 構造材がすでに白蟻に食われている
- 数年間にわたって巣が維持されている可能性がある
つまり、羽アリの出現は**「白蟻被害がすでに進行しているサイン」**とも言えるのです。
まとめ:羽アリは白蟻からの警告サイン
羽アリを見かけたとき、それは偶然ではありません。それは、あなたの家が白蟻に侵食されているかもしれないという警告サインです。
「まだ大丈夫」ではなく、
「今すぐ確認してみよう」という姿勢が、
住まいと家族を守る第一歩です。
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