白蟻の被害は、見えない床下や壁の中で静かに進行します。しかしその影響は、意外にも日常生活の中に“違和感”として現れてきます。中でもよくあるのが、「床が沈む」「ドアの開け閉めが重い」「建具が歪んできた」といった異変。これらは白蟻によって構造部材が食害され、家全体のバランスが崩れたことによる典型的な兆候です。
なぜ床や建具に異変が出るのか?
白蟻が食べるのは、目に見える床板や壁紙ではなく、それらを支える構造の木材です。
そのため、土台・大引・根太・柱などが白蟻に食害されると、表面にある建材まで支えきれなくなり、変形や傾きが起こるのです。
よく見られる“異変”の具体例
異変の内容 | 原因となる構造被害 |
---|---|
床がふわふわ・沈む | 大引や根太が中空化し、荷重に耐えられなくなっている |
ドアの立て付けが悪い | 柱が食害されて沈下・傾斜している |
引き戸が動かない・歪んでいる | 鴨居や敷居が変形してレールがずれている |
ドアが自然に開閉する・閉まりきらない | 建物が微妙に傾いていることによる重力の偏り |
畳が斜め・段差ができた | 下の根太や床束が腐食・沈下している |
放置するとどうなるか?
一見すると「建て付けの問題かな?」「経年劣化かな?」と思われがちなこれらの症状ですが、
白蟻による構造的な問題が原因である場合、放置すれば確実に被害は拡大します。
- 床が抜ける事故
- ドアや窓が完全に動かなくなる
- 地震時に開口部がゆがみ、避難困難になる
- 見えない箇所の構造が危険水準に達する
こうなる前に、早期の点検と対処が極めて重要です。
異変に気づいたら何をすべきか?
チェックポイント
- 踏むと柔らかく感じる床はないか?
- ドアの開閉時にひっかかりがないか?
- 建具の上下にすき間ができていないか?
- 雨戸やサッシがスムーズに動くか?
1つでも当てはまれば、白蟻の被害を疑うべき状況です。
行動ステップ
- 床下や押し入れ、外周部に蟻道や羽アリの痕跡がないか確認
- 市販の防蟻スプレーでの応急処置はNG。構造部は専門家に見せることが必要
- 白蟻専門業者または建築士に調査を依頼(無料点検を実施している業者も多い)
まとめ:小さな違和感を“見逃さない力”が家を守る
白蟻による被害は、まず暮らしの中の“わずかな違和感”として現れます。
だからこそ、
「ちょっと引き戸が重くなっただけ」
「床が少しフワついてる気がする」
そんなときこそ、点検をする絶好のチャンスです。
建具のズレは、家の“構造の悲鳴”。
気づく人がいれば、家はまだ守れます。
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