木造住宅の宿敵ともいえる白蟻(しろあり)。「なぜあえて人間の家を食べるのか?」と疑問に思う方も多いかもしれません。でも実は、白蟻は人間の家を狙っているわけではないのです。白蟻は、ただ、自然の中で生きていく本能に従って行動しているだけなのです。
白蟻の主食は“セルロース”という植物の成分
白蟻は、木材や紙に含まれるセルロースという成分を分解して栄養にすることで生きています。
セルロースとは? 植物の細胞壁をつくる主要な成分で、
- 木
- 草
- 紙
- 段ボール
などに大量に含まれています。
つまり、白蟻にとって住宅の柱・土台・床板・家具・畳・紙類などは、まさに“餌の宝庫”なのです。
森の中では“倒木処理係”として重要な存在
自然界において白蟻は、倒れた木や落ち葉などを分解して土に還す、自然のリサイクラーです。
熱帯の森林では、白蟻がいなければ枯れ木が積もり、栄養が循環しなくなってしまうほど。本来、白蟻は「人間の敵」ではなく「自然の清掃係」とも言える存在です。
住宅が“森の倒木”に見えてしまう理由
人間の家は、白蟻からすれば以下のように見えます:
視点 | 白蟻にとっての意味 |
---|---|
木材 | セルロースが豊富な主食 |
湿気 | 生きるために必要な高湿度空間 |
暗さ | 光を避ける性質に合った居場所 |
静けさ | 敵に見つかりにくい環境 |
特に床下・壁の中・浴室まわりなどは、白蟻にとって快適な“巣づくりの条件”がそろっています。白蟻にとっては、人の家かどうかは関係ありません。そこに湿った木があれば、それは“食べて良い倒木”なのです。
白蟻が“住宅を狙う”ように見える真の理由
日本では木造住宅が多く、かつ湿気が多い気候条件であるため、
- 地面から湿気が上がる
- 通気が不十分な床下がある
- 外壁のすき間や配管まわりに小さな穴がある
といった構造的な要因によって、家が自然界と同じような“白蟻の好環境”になってしまうのです。
人の家を食べるのは“異常行動”ではない
白蟻は、特別に賢いわけでも、悪意があるわけでもありません。ただ本能に従って、目の前にあるセルロースを分解して生きているだけです。その生態と仕組みを知らなければ、私たちはいつまでも
「なぜ白蟻に家を壊されたのか?」
と後悔することになります。
まとめ:白蟻を責めるのではなく、知識と備えで家を守る
白蟻が家を食べるのは、“自然な行動”の延長線上です。その存在を完全に消し去ることはできませんが、
- 白蟻の好む環境を作らない
- 定期点検を怠らない
- 侵入されにくい構造にする
といった対策をすることで、住宅を白蟻から守ることは十分に可能です。
「白蟻はなぜ家を食べるのか?」
その答えを知ることが、あなたの住まいを守る最初の一歩です。
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