建具のゆがみや異常

白蟻から家を守るために知っておきたい基礎知識
閉まらないドアが教えてくれる、見えない異常のサイン

 「最近ドアの開け閉めがしづらくなった」「ふすまや引き戸が引っかかるようになった」
そんな“ちょっとした不具合”が、実は白蟻による構造材の変形を知らせるサインである可能性があります。建具の不調は、家の骨格である柱や土台に変形・沈下が起きている初期症状として現れることがあるのです。

なぜ建具に異変が起きるのか?

 白蟻は、土台や柱・間柱・鴨居などの構造部材の内部を好んで食害します。これらの部材は、建具(ドア・引き戸・ふすま・窓など)を支えるフレームの役割を果たしており、一部でも変形・沈下・空洞化が生じると、建具に微妙なズレやゆがみが生じます

建具異常の主な原因

被害箇所異常の現れ方
土台・柱の沈下ドアの閉まりが悪くなる、鴨居に引っかかる
間柱の変形引き戸がスムーズに動かない、斜めにずれる
敷居の沈み建具の下端が擦る、自然にドアが開く・閉まる
鴨居のたわみ上部にすき間ができたり、歪みが目立つ

よくある建具の“異常症状”

  • ドアが閉まりきらない/きちんとロックできない
  • 引き戸がレールに沿って動かない/途中で止まる
  • ふすまが片側だけ浮いている
  • ドアを閉めるときに力が必要になった
  • 以前より開閉音が大きくなった、音が変わった
  • 雨戸やサッシが最後までスライドしない

これらはすべて、「建具のゆがみ=構造の歪み」の可能性を示しています。

白蟻による被害の初期サインとしての重要性

 建具の異常は、壁や床に比べて使用頻度が高いため、変化に気づきやすい部分でもあります。白蟻の被害は暗く湿った床下や壁内で進行するため気づきにくいですが、建具の挙動を通して“建物の骨組みの異常”が表に現れてくるのです。

実際に白蟻点検で発見されたケースでも、「ドアが閉まりにくくなったのがきっかけで調査を依頼した」例が多数あります。

点検・観察のポイント

チェック箇所確認すること
ドアの開閉スムーズに動くか/上端や下端が枠にこすれていないか
引き戸スライドがスムーズか/レールに乗っているか
鴨居・敷居たわみ・すき間・傾きはないか
建具の隙間左右や上下で均等か/一方が狭くなっていないか

変化があったときは、建具の調整だけで済まそうとせず、建物の構造状態にも目を向けるべきです。

調整だけでは済まない場合もある

 建具のズレや傾きが構造的な変形(沈下・傾斜)に起因するものであった場合、「建具を削って直す」「戸車を交換する」といった表面的な処置では根本的な解決になりません。

白蟻被害が原因であれば:

  • 床下構造の修復(大引・根太の交換)
  • 柱の補強や入れ替え
  • 被害箇所の白蟻駆除と防蟻処理
    といった根本対応が必要になります。

まとめ:日常の小さな異変が、白蟻被害の入り口

 白蟻の被害は目に見えない場所で進みますが、建具はその異常を最初に知らせてくれる“センサー”のような存在です。

「最近ドアの調子が悪いな…」
そう思ったときが、家を守る絶好のタイミングです。

違和感があるときは、自分で調整する前に、一度専門家の点検を受けてみましょう。

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