耐震性が低い住宅というと、「古い家」「ボロボロの家」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、見た目がきれいな住宅であっても、耐震性が低いケースは少なくありません。ここでは、これまで多くの地震被害や住宅調査を通して見えてきた、耐震性が低い住宅に共通する特徴を整理して解説します。
壁の量が少なく、配置バランスが悪い
木造住宅の耐震性を左右する最も重要な要素の一つが、耐力壁の量と配置バランスです。耐震性が低い住宅では、次のような傾向がよく見られます。
- 南側に大きな窓や掃き出し窓が集中している
- 1階に比べて2階の壁が多い
- 建物の一部に壁が偏って配置されている
このような住宅では、地震時に力が均等に伝わらず、建物がねじれるように揺れるため、倒壊や大きな損傷につながりやすくなります。
1階部分が弱い「層崩壊」の危険性
特に注意が必要なのが、1階部分の耐震性が不足している住宅です。
- 1階が駐車場になっている
- 店舗や事務所として使われ、壁が少ない
- 広いLDKを優先し、柱や壁を減らしている
このような場合、地震時には1階だけが潰れる「層崩壊」が起こりやすく、人命被害につながる危険性が高いとされています。
接合部(金物)が十分に確保されていない
木造住宅は、柱・梁・土台などの部材を接合部でつなぎ合わせる構造です。そのため、接合部の強さが耐震性に大きく影響します。耐震性が低い住宅では、
- 構造用金物が使われていない
- 金物の種類や数が不足している
- 古い仕口・継手のままになっている
といったケースが多く見られます。揺れが大きくなると、こうした接合部から破壊が始まり、建物全体が一気に崩れる原因になります。
基礎が弱い・劣化している
住宅の耐震性は、上部構造だけでなく基礎の状態にも大きく左右されます。耐震性が低い住宅では、
- 無筋コンクリートの基礎
- 大きなひび割れがある
- 不同沈下が生じている
といった問題が見られることがあります。基礎が弱いと、いくら上部を補強しても、地震時に建物全体が不安定になり、十分な耐震性能を発揮できません。
劣化やシロアリ被害を放置している
木造住宅は、経年劣化の影響を受けやすい構造です。
- シロアリによる土台や柱の被害
- 雨漏りによる木材の腐朽
- 床下・小屋裏の湿気
こうした劣化が進んでいる住宅では、耐震性能が想定よりも大きく低下していることがあります。見た目では分からなくても、内部で耐震性が失われているケースは決して珍しくありません。
建築年代が古く、基準が不十分なまま
耐震性が低い住宅の多くは、旧耐震基準時代や、構造規定が十分でなかった時代に建てられています。
- 1981年以前の旧耐震基準
- 2000年以前の木造住宅
これらの住宅は、現在の地震動を想定した設計になっていないため、特に注意が必要です。
見た目のリフォームで安心してしまっている
もう一つ、非常に多いのが、内装や外装だけをきれいにして安心してしまっている住宅です。
- クロスや床を張り替えた
- 外壁を塗り替えた
- 設備を新しくした
これらは快適性を高める工事ではありますが、耐震性とは直接関係しません。構造部分に手を加えていない場合、耐震性能は建築当時のままです。
要点整理
✅ 壁の量・配置バランスが悪い
✅ 1階が弱く、層崩壊の危険がある
✅ 接合部(金物)が不足している
✅ 基礎に問題がある
✅ 劣化・シロアリ被害が進行している
✅ 古い耐震基準のままになっている
✅ 見た目だけのリフォームで安心している
まとめ
― 共通点を知ることが、耐震対策の第一歩 ―
耐震性が低い住宅には、必ずいくつかの共通した特徴があります。これらを知ることで、「自分の家はどこが弱いのか」「何を優先して対策すべきか」が見えてきます。
次の節では、増改築や間取り変更が耐震性にどのような影響を与えるのかについて、具体的に解説していきます。

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