「建築確認申請」は、建物を建てるときに必要な法的手続きです。しかし、かつては「4号建築物」という分類に該当すれば、申請内容の一部が省略される特例がありました。この制度は長年、木造の戸建住宅を中心に多く利用されてきましたが、2025年に廃止されることが決まっています。ここではまず、「4号建築物」とはどんな建物なのかを基本から解説します。
「4号建築物」とはどんな建物?
建築基準法における分類のひとつ
建築基準法では、建物を規模や構造に応じて「1号建築物」~「4号建築物」に分類しています。
そのうち「4号建築物」とは、以下のような小規模な建物を指します。
分類条件 | 内容 |
---|---|
構造 | 木造建築物(非木造は対象外) |
階数 | 2階建て以下 |
延床面積 | 500㎡以下 |
高さ制限 | 高さ13m以下・軒の高さ9m以下 |
つまり、戸建て住宅の多くがこの「4号建築物」に該当していたのです。
4号建築物が対象だった特例とは?
「4号特例」による申請の簡略化
4号建築物には、建築確認申請において次のような緩和措置(特例)が適用されていました。
緩和された手続き項目 | 内容 |
---|---|
構造計算の審査 | 通常は審査されるが、4号では不要に |
省エネ性能の確認 | 一部項目が審査対象外に |
建築主事の審査対象 | 主要構造に関しては建築士の責任でOK |
申請書類が減り、審査期間も短縮。設計や着工のスピードアップに寄与していました。
なぜこの制度が活用されてきたのか?
小規模住宅建築の普及を後押し
- 設計者(建築士)の責任のもと、行政の審査を簡略化できる
- 住宅建築コストの抑制・手続きの迅速化が可能
- とくに木造住宅において、簡単・早い・安いというメリットがあった
実際に、「4号建築物」に該当していた住宅は、新築戸建ての7割以上とも言われています。
4号建築物の裏に潜むリスク
“簡略化=品質がばらつく”という現実も
- 建築士の設計判断がすべてになるため、第三者チェックが省略される
- 構造の不備、省エネ性能の不足などが見落とされるリスク
- 建築主が内容を理解せずに進んでしまうケースも
メリットの裏で、「自己責任型の制度」だったことを理解する必要があります。
まとめ:「4号建築物」は“過去の標準”だった
視点 | 内容 |
---|---|
対象建物 | 木造・2階建て以下の戸建住宅など |
主な特例 | 確認申請の審査が一部省略できる |
メリット | 費用・手続き・期間の負担が軽くなる |
デメリット | 審査の目が届かず、リスクもある |
2025年4月以降、この制度は廃止され、「すべての建物に構造や省エネの確認が求められる時代」になりました。
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