擁壁改修にかかる費用

擁壁改修にかかる費用 擁壁特集
補強費・改修費の相場

 擁壁の改修費用について調べると、「いくらかかるのか分からない」「見積りの差が大きすぎて判断できない」と感じる方が多いのではないでしょうか。

 これは、擁壁工事の費用が、擁壁の種類・高さや延長・劣化の進行度・敷地条件・工事方法など、さまざまな要因によって大きく変わるためです。まず理解しておきたいのは、擁壁工事には一律の相場は存在しないという点です。

比較的軽微な補修・補強の費用感

 劣化が軽度で、構造的な問題が小さい場合には、ひび割れ補修や欠損部の断面修復といった部分的な補修が行われます。これらの工事費用は、目安として数万円から数十万円程度です。ただし、これらはあくまで劣化の進行を抑えるための対策であり、擁壁の安全性を根本的に回復する工事ではない点に注意が必要です。

 擁壁トラブルの原因として多いのが排水不良です。そのため、水抜き孔の新設や排水管の清掃・改修といった排水改善工事は、比較的費用対効果の高い対策といえます。費用の目安は10万円から50万円程度で、条件が良ければ、比較的少ない費用で擁壁の安定性が大きく改善することもあります。

本格的な補強工事の費用感

 擁壁の安定性を構造的に高める補強工事としては、地盤アンカー工法や控え壁の設置、前面補強壁の施工などがあります。これらの工事費用は、規模や施工条件によって大きく変動しますが、目安としては50万円から200万円程度が一般的です。特にアンカー工法は、地盤条件や本数によって費用差が大きく出やすい工法です。

 さらに、擁壁背面の地盤が弱い場合には、掘削や地盤改良、裏込めの再施工を伴う補強が必要になることがあります。このような工事では、費用の目安は100万円から300万円程度となり、工事範囲が広がるほど費用も増加します。

新設擁壁に作り替える場合の費用感

 既存の擁壁を撤去し、新たに擁壁を新設する場合は、改修工事の中でも最も費用がかかります。目安としては200万円から500万円以上になることも珍しくありません。擁壁の高さや延長、構造計算の有無、基礎の規模、重機や仮設工事の内容、残土処分費などが費用を大きく左右します。場合によっては、建物本体の工事費用に匹敵することもあります。

費用を左右する見落とされがちな要因

 見積書を確認する際には、重機の搬入可否、仮設足場や仮設土留めの有無、隣地対策費、行政手続きに関する費用などにも注意が必要です。これらは見積書の後半や別項目として記載され、後から追加費用として発生するケースも少なくありません。

安さだけで判断する危険性

 擁壁工事では、「できるだけ安く済ませたい」という気持ちが先行しがちですが、構造的な検討が不十分な工事や、排水計画が考慮されていない工事、応急補修レベルにとどまる対策では、将来的に再工事が必要になるリスクがあります。費用を見る際には、「どこまでの安全性を、何によって確保する工事なのか」を必ず確認することが重要です。

まとめ

 擁壁改修の費用相場を知ることは、単に安くするためではなく、適切な判断を行うための材料を持つことにあります。擁壁のやり替え、補修については、工法・敷地条件・やり方により大きく違いがでます。数社に工法を提案してもらい、相見積をとり、第三者の目で査定、工事監理を行うことが重要です。

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