中古住宅の不具合は、どこにでも均等に起こるわけではありません。実は、劣化やトラブルが集中しやすい場所があります。ここでは、中古住宅で特に注意して見ておきたい代表的な箇所を、理由とあわせて説明します。
屋根・外壁まわり(雨水が最初に当たる場所)
屋根や外壁は、雨・風・紫外線を直接受け続ける部分です。そのため、住宅の中でも特に劣化が進みやすい場所になります。注意したいポイントは、
・屋根材のズレ、割れ、色あせ
・外壁のひび割れ、浮き、剥がれ
・コーキング(目地)の切れや硬化
これらを放置すると、雨水が内部に入り込み、雨漏りや構造材の腐朽につながる可能性があります。
バルコニー・ベランダ(見落とされやすい防水部分)
バルコニーやベランダは、雨がたまりやすく、防水層の劣化が起きやすい場所です。
・床面のひび割れ
・排水口の詰まり
・防水層の膨れや剥がれ
が見られる場合、下階への雨漏りにつながる恐れがあります。見た目がきれいでも、防水の寿命は10~15年程度とされるため、築年数が経っている住宅では特に注意が必要です。
基礎・床下(普段見えないが重要な部分)
基礎や床下は、普段の生活ではほとんど目に入りませんが、住宅の安全性に直結する重要な場所です。チェックしたいのは、
・基礎のひび割れ(クラック)の幅や方向
・床下の湿気やカビ
・木部の腐朽や白蟻被害
ここに問題があると、建物全体の耐久性や耐震性に影響を及ぼします。
水まわり(キッチン・浴室・洗面・トイレ)
水まわりは、劣化・不具合が最も起きやすい場所のひとつです。
・配管の劣化や水漏れ
・床や壁の腐り
・換気不足によるカビ
などが起こりやすく、見えないところで被害が進行しているケースも少なくありません。設備自体の寿命もあるため、交換前提で考える必要がある場合もあります。
天井・小屋裏(雨漏りのサインが出やすい)
天井や小屋裏は、雨漏りや結露の影響が表れやすい場所です。
・天井のシミ
・クロスの浮きや変色
・小屋裏の木材の変色
などが見られる場合、屋根や防水に問題がある可能性があります。表面的な補修だけでは解決しないことも多いため、原因の特定が重要です。
窓・サッシまわり(雨漏り・結露の要注意ポイント)
窓やサッシのまわりは、雨漏りや結露トラブルが起きやすい場所です。
・サッシまわりのシーリング劣化
・建付け不良
・結露によるカビや腐朽
は、中古住宅でよく見られる不具合です。特に、古い住宅では断熱性能が低く、結露が起きやすい傾向があります。
電気・給排水設備(見えないインフラ部分)
配線や配管は、見えないため劣化に気づきにくい部分です。
・古い配管材が使われていないか
・漏水の痕跡はないか
・電気容量が現在の生活に合っているか
などを確認しないと、住み始めてから不便や追加工事が必要になることがあります。
劣化しやすい場所ほど、専門家チェックが重要
これらの場所は、一般の方が目視だけで判断するのが難しい部分でもあります。
だからこそ、中古住宅購入では、劣化・不具合が起きやすい場所を重点的にチェックするインスペクション(住宅診断)が非常に有効です。
「見えやすい所」より「見えにくい所」を意識する
中古住宅を見るときは、きれいな内装や雰囲気に目が行きがちですが、本当に大切なのは見えにくい部分です。
・雨水が入らないか
・構造に影響はないか
・将来、大きな修繕が必要にならないか
こうした視点で確認することが、後悔しない中古住宅購入につながります。
まとめ
中古住宅の劣化や不具合は、建物全体に均等に起こるのではなく、特定の場所に集中して起こりやすいという特徴があります。特に、
- 雨や紫外線の影響を受けやすい 屋根・外壁
- 防水層が劣化しやすい バルコニー・ベランダ
- 普段見えないが重要な 基礎・床下・小屋裏
- 水を常に使う 水まわり
- 雨漏りや結露の原因になりやすい 窓・サッシまわり
- 見えにくく劣化に気づきにくい 配管・配線などの設備
といった部分は、築年数に関わらず注意が必要です。これらの場所は、見た目がきれいでも内部で劣化が進んでいることがあり、購入後に大きな修繕費が発生する原因になりやすいポイントです。
中古住宅を見る際は、内装のきれいさや雰囲気だけで判断するのではなく、「不具合が起きやすい場所を意識して確認する」という視点を持つことがとても重要です。
そして、こうした見えにくい部分こそ、専門家による インスペクション(住宅診断) が力を発揮します。重点的にチェックすべき場所を把握したうえで診断を行うことで、リスクを事前に知り、冷静な判断につなげることができます。劣化や不具合の起きやすい場所を知ることは、中古住宅購入における最大の防御策のひとつです。

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