家の中を歩いていて、ある一部の床だけが「ふわっ」と沈むような感触があったり、足音が“ポンポン”と軽く響くような場所があったりした経験はありませんか?それは単なる経年劣化ではなく、白蟻によって床下の構造材が食い荒らされている兆候かもしれません。
なぜ床がふわつくのか?
白蟻の被害は、木材の内部から進行するのが特徴です。そのため、床板の下にある「大引(おおびき)」や「根太(ねだ)」といった構造部材が空洞化してしまうと、上を歩いたときに沈むような感触になるのです。
主な被害箇所と症状
被害部材 | 症状 |
---|---|
根太 | 床が部分的にふわふわ、沈む |
大引 | 床全体にたわみが出る、きしむ音がする |
床板そのもの | 歩くと板がたわむ、わずかに弾力がある |
白蟻に食われた構造材は、内部がスカスカになっており、荷重に耐えられなくなっている可能性があります。
「空洞音」とは?
白蟻被害の典型的な初期兆候として、床や柱、鴨居などを叩いたときに軽く響くような音がします。
これは内部が空洞になっており、共鳴するために起こります。
健全な材との音の違い
- 健全な木材:コツコツ、コンコンと詰まった音
- 空洞化した木材:ポンポン、ペコンと軽く響く音
建具や床を軽くノックして確認してみるだけでも、被害の有無を早期に察知できる可能性があります。
どこで起こりやすいか?
白蟻被害による床の異変は、以下のような湿気がこもりやすく、点検しにくい場所でよく見られます。
場所 | 理由 |
---|---|
キッチンや洗面室の床 | 水気が多く湿気がたまりやすい |
押し入れの床・収納部 | 通気性が悪く、暗く湿りがち |
床下点検口のまわり | 人が入りにくく、確認されにくい |
注意すべき“床の異常”のサイン
- 歩くと沈む・たわむ感じがする
- 一部だけ足触りが柔らかい
- 物を置くと軽く傾く
- フローリングが波打つ
- 音が以前より大きくなった
- きしみ音や異音が増えた
これらが一つでも当てはまれば、白蟻被害の可能性ありと考えて、床下の点検を行うべきです。
床が沈む=家が危ない?
一見些細な床の違和感ですが、放置すれば…
- 床板が抜けてしまう事故につながる
- 建物全体が傾く兆候となる場合も
- 耐震性の低下や腐朽菌の繁殖を誘発する可能性も高くなる
白蟻被害は、“足元から進行する家の病”なのです。
対処と予防のポイント
対処
- 点検口がある場合は懐中電灯で床下を覗き、構造材の変色・湿気・蟻道を確認
- 被害が疑われる場合は、専門業者による床下調査を依頼(無料点検あり)
予防
- 床下の通気を良くする(基礎パッキン、床下換気口の確保)
- 水漏れ・結露箇所を修繕し、湿気対策を行う
- 築10年以上で点検歴がなければ、一度プロの点検を受けることが望ましい
まとめ:足元の違和感は、住まいの“SOS”
白蟻の被害は、まず床に“ふわつき”や“軽い音”として現れます。それを「老朽化かな」「気のせいかな」で見過ごしてしまえば、被害はさらに深く静かに進行していきます。
いつも通る床だからこそ、ちょっとした違和感に気づける。
それが、家を守る第一歩です。
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